さそり座に新星が出現

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10月14日、さそり座に14等級の新星が出現した。

【2017年10月16日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

この時期には夕方の南西の空に見えるさそり座の中に、爆発直後の新星が発見されました。新星を発見したのはハワイとチリでそれぞれ4台の口径14cmの望遠鏡とCCDカメラを使って超新星のサーベイを行っているAll-Sky Automated Survey for Supernovae(ASAS-SN)のグループです。

ASAS-SNのグループは、チリにある望遠鏡で10月14.01日(世界時、以下同)に撮影された画像から14.0等の新天体(ASASSN-17nj)を発見しました。この天体の位置には前日の13.10日の画像には17.4等よりも明るい天体が見られないことから、この天体は13~14日のわずか1日の間に急激に明るくなったと考えられます。発見された天体の位置は以下のとおりです。

赤経  17h30m34.18s
赤緯 -31°06′06.8″ (2000年分点)

15.58日にはインドのアブ山天文台の1.2m望遠鏡によってこの天体の近赤外域の分光観測が行われ、この天体のスペクトルにはP Cygniプロファイルを示す水素のパッシェン系列や中性ヘリウムの輝線の他、中性の窒素や酸素などの輝線も見られることがわかりました。これらの特徴からこの天体が古典新星であることが確認されました。

ASAS-SNの観測データによると、この新星は16日には13等ほどに増光しており、今後どこまで明るくなるのかが注目されます。

さそり座の新星の位置
さそり座の新星の位置。クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で表示)