太陽より年上のTRAPPIST-1

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7つの系外惑星が見つかった赤色矮星「TRAPPIST-1」の年齢が54億~98億歳ほどと見積もられ、太陽よりかなり古いことが明らかになった。

【2017年8月16日 NASA JPL

今年初めに行われたNASAの記者会見で、チリのTRAPPIST望遠鏡やNASAの赤外線天文衛星「スピッツァー」などの観測から、みずがめ座の赤色矮星「TRAPPIST-1」の周りに地球サイズの惑星が7つ発見されたことが発表された(参照:アストロアーツニュース「40光年彼方に地球サイズの7惑星」)。

TRAPPIST-1の7つの惑星
TRAPPIST-1の7惑星の想像イラスト(提供:NASA/JPL-Caltech、以下同)

発見時、TRAPPIST-1は少なくとも5億歳であるはずだと考えられた。これは、太陽質量の8%と小さい星であるTRAPPIST-1ができあがるまでにかかる時間から見積もられたものだ。反対に、TRAPPIST-1が宇宙とほぼ同じくらい年老いていることも理論上考えられる。

米・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAdam BurgasserさんたちがTRAPPIST-1の運動速度や大気の化学組成、フレアの発生頻度などの情報からTRAPPIST-1の年齢を推測したところ、いずれのデータからもTRAPPIST-1が太陽よりかなり年老いていることが示された。年齢は54億~98億歳と見積もられ、最長で太陽系の2倍ほどにもなる。

年老いた星のすぐ近くを回っている惑星は、数十億年にわたって中心星からの高エネルギー放射という猛威にさらされてきたことになる。その影響で、7つの惑星のうち中心から離れている2つの惑星を除いて、TRAPPIST-1の惑星それぞれから地球の海水に相当する量の水が蒸発したかもしれない。太陽系では火星がこの状況に当たる惑星だ。

年齢が古いからといって、必ずしも惑星の大気が失われたとは限らない。TRAPPIST-1の惑星の密度が地球より低いことを考えると、水のような揮発性分子によって厚い大気が作られ、惑星の表面が放射から守られる可能性がある。厚い大気は、惑星の昼の面から夜側に熱を運ぶ役割を果たすかもしれない(TRAPPIST-1の惑星はすべて潮汐固定されており、昼と夜が入れ替わることがない)。しかし今度は、厚い大気が暴走温室効果を生じさせるという可能性もあり、金星のような過熱状態となるかもしれない。

「もしTRAPPIST-1の惑星上に生命がいるとすれば、潜在的に悲惨な環境を数十億年間生き抜いてきた強い生命でしょう」(Burgasserさん)。

TRAPPIST-1の惑星系
惑星「TRAPPIST-1 f」(右)の側から見たTRAPPIST-1の惑星系のイラスト

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