太陽そっくりの星たちが明かす、太陽系大移動の道のり
【2026年3月19日 国立天文台 JASMINEプロジェクト】
太陽系は現在、天の川銀河の中心から約2万7000光年離れたところにあるが、誕生時には銀河中心から約2万光年以下の中心部にあったと推定されている。つまり、太陽系は誕生から46億年の間に1万光年以上も外側に移動したと考えられる。
しかし、この移動は非常に難しいという指摘がある。天の川銀河の中心部で回転している棒状構造が、そのすぐ外側付近に「共回転バリア」と呼ばれる障壁を作っていることが理論的に示されていて、この障壁の内側で生まれた太陽系が外側の現在位置まで移動する確率は非常に低いと考えられるからだ。

共回転バリアのイラスト。(青)現在の太陽系の位置、(赤)太陽系が誕生した位置、(黄)共回転バリア(提供:NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurtを改変)
東京都立大学の谷口大輔さん、国立天文台の辻本拓司さんたちの研究チームは、色や明るさなどが太陽と似ている「太陽双子星」に注目し、太陽系大移動の歴史やメカニズムを調べた。研究チームはヨーロッパ宇宙機関の位置天文観測衛星「ガイア」の観測データを利用して、太陽系から約1000光年以内に分布する約6600個の太陽双子星のカタログを構築し、それぞれの星の年齢をモデルに基づいて推測した。

(左)様々な種類の恒星の色と明るさの関係。「太陽双子星」は太陽と似た色と明るさを持つ星(赤枠部分)を指す。(右)今回の研究で得た太陽双子星たちの距離ヒストグラム。先行研究と比べてサンプル数が約30倍に増えた。画像クリックで表示拡大(提供:国立天文台、以下同)
すると、恒星の年齢分布に、約20億歳の鋭いピークと約40~60億歳に広がる緩やかな膨らみが現れた。前者の起源は、いて座矮小楕円銀河が天の川銀河へ衝突したことなどと考えられていて、これまでに太陽双子星以外でも確認されている。一方、今回の研究のポイントとなるのは後者のグループで、色や明るさだけでなく年齢も太陽に近い星々が、太陽系の近くに多数存在していることが明らかになった。

観測データの偏りを除去して得られた、太陽双子星の真の年齢分布
これらの星々は太陽とほぼ同じ年齢と重元素量をもつため、太陽と同様に天の川銀河の中心付近で誕生し、その後現在の場所まで移動したと考えられる。太陽系が例外的に現在の位置まで移動したわけではなく、多くの太陽双子星と一緒に大移動した普遍的なメカニズムが存在することを示唆する結果だ。
研究チームでは恒星大移動の引き金として、銀河中心部の棒状構造に注目している。棒状構造は形成後には共進化バリアを作ってしまうが、棒状構造の形成期であれば星形成が活発化し、同時に誕生したばかりの星を効率的に移動させる可能性があるという。ただしこの場合、棒状構造の形成期が通説よりも遅くなってしまうため、さらに議論が必要そうだ。

(上)今回の研究で提案された太陽系大移動のメカニズム、(下)太陽系と太陽双子星たちの大移動のイメージ。画像クリックで表示拡大
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