火星のクレーターをかつて満たした湖
【2014年12月10日 NASA】
NASAの火星探査車「キュリオシティ」は現在、直径154kmのゲールクレーターの中心、高さ5kmのシャープ山をおよそ150mまで登ったところで探査を行っている。「マレー層」と呼ばれるこの地では、湖底に見られるような堆積物や川の流れを示す小さなデルタが積み重なったような模様など、ひじょうに多彩な岩石層が無数に見られ、かつて数千万年にもわたって湖が満ちては枯渇した時期があったことがうかがえる。クレーターの底にたまった堆積物は固まって岩石となり、やがて風の浸食作用を受け、もともとクレーターの中央丘があった部分が残ってシャープ山となったと考えられる。
NASAのAshwin Vasavadaさんによると、「もしこの仮説が正しければ、かつての火星は局地的でも突発的でもなく、水が安定して地表に存在するような環境だったという証拠になる」という。
キュリオシティが撮影した火星の岩石層。入江近くの湖底の堆積岩とそっくりだ(提供:NASA/JPL-Caltech/MSSS)
水がたまったゲールクレーターの想像図(提供:NASA/JPL-Caltech/ESA/DLR/FU Berlin/MSSS)
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