磁場凍結の破れが放つ高速電子ジェット

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プラズマ中の「磁場凍結の破れ」と呼ばれる現象によって天体から高速の電子ジェットやガンマ線などが発生することが、理論シミュレーション研究で明らかにされた。

【2020年1月6日 大阪大学レーザー科学研究所

宇宙空間では、物質の多くが「プラズマ」と呼ばれる高いエネルギーを持つ荷電粒子の状態で存在しており、プラズマの中で電流が流れたり磁場が発生したりすることで様々な現象が引き起こされている。たとえば、プラズマ中で逆方向を向く磁場同士がぶつかって繋ぎ変わる「磁気リコネクション」現象では、繋ぎ変わる際に磁場のエネルギーの一部がプラズマのエネルギーに変換され、オーロラや太陽フレアなどにおいて重要な役割を担っている。

プラズマ中に磁場があると、電子やイオンといった荷電粒子は磁場にまとわり付いて一緒に動く(磁場の凍結)。しかし、極めて高温の状態で物質が光に近い速さで運動すると、相対論効果によって物質の質量が増加したかのような振る舞いを見せ、磁場の凍結が破れる領域が生じる。

チェコ・ELI-BeamlinesのYanjun Guさん、大阪大学レーザー科学研究所の余語覚文さんたちの研究グループは、この現象の3次元理論シミュレーションを行い、光の速さの99%におよぶ高速の電子ジェットが放たれることを明らかにした。

高速の電子ジェットのエネルギーは、天体からのガンマ線放射という形で表れる。今回の研究成果を土台に、かに星雲に代表される超新星残骸からガンマ線が放たれる仕組みやガンマ線バーストなど、未知の宇宙現象の解明が進むと期待される。

かに星雲
かに星雲(提供:NASA, ESA, J. Hester and A. Loll (Arizona State University))