命名キャンペーン実施中、はるか遠くの惑星系の名付け親になろう
【2019年8月5日 星ナビ編集部】
案内:山岡均さん(国立天文台 天文情報センター)
(「星ナビ」2019年9月号「Topics & Information」より)
様々な観測によって、様々な恒星に惑星系が発見されています。このたび、国際天文学連合(IAU; International Astronomical Union)が創立から100年を迎えるにあたり、太陽系外惑星とその主星の名前の提案を一般から募るするキャンペーンが始まりました。世界の国・地域がそれぞれ1組ずつ、惑星と主星の組に名前を提案するのです。選定された名前は公式な名称としてIAUから認定を受けます。
系外惑星およびその主星に名前を付けるというキャンペーンは、4年前の2015年にも実施されました(参照:「19の系外惑星系の名称決定 日本からも4案採用」)。その時は、名前を提案できるのは団体に限られており、また世界全体での市民投票を経るために提案理由などは英語で記述することが求められました。
しかし今回は、世界の国・地域それぞれでの提案という形をとります。しかも日本では、個人ベースでも名前の提案もできます。また、提案理由は日本語で大丈夫です。各国・地域からの提案になるので、各国・地域それぞれの文化に基づいた名前を提案してほしいと考えており、日本からの提案では日本語・アイヌ語・琉球語のものを推奨します。
今回、日本に命名提案が割り当てられたのは、かんむり座の距離410光年にある6.5等の恒星HD 145457とそれを公転している巨大ガス惑星です。2010年に、国立天文台のすばる望遠鏡と岡山天体物理観測所(当時)の口径188cm望遠鏡によって、主星となる恒星の視線速度のゆらぎをとらえる「視線速度法」によって発見されました。
かんむり座の星図(「ステラナビゲータ」で星図作成)。ステラナビゲータの恒星ダイアログで「系外惑星を持つ恒星」のチェックをオンにするとマークや名前が表示される
主星と系外惑星の名前、計2つの名前を一組としての提案となります。名称には、アルファベットで4文字以上16文字以下であること、既存の天体名と一致しないことなどいくつかの制限があります。特に、小惑星にすでに命名されている名称を提案しないよう気を付けてください。詳しいルールはウェブサイトに掲載しています。
日本で提案された名称は、日本天文協議会メンバーによる一次選考を経て、10名の特別委員会で最終選考され、IAUに送られます。最終結果が発表されるのは本年12月の予定です。みなさま、ぜひご参加ください。
《応募要項》
- ■ 応募方法:
-
- 提案理由(命名テーマ)を200字以上400字以下の日本語で記述し、ウェブページから応募
- ■ 締切:
-
- 2019年9月4日(水) 12:00(日本時)
- ■ 詳細:
キャンペーンのサイトに恒星と惑星の詳しい情報が載っているので、どのような天体なのか想像しながら名前を考えてみよう(提供:IAU/L. Calçada)
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