火星探査機MRO、火星探査車オポチュニティを撮影
【2018年10月1日 NASA JPL】
今年5月末ごろ、火星で大規模なダストストーム(砂嵐)が発生し、火星の大部分が塵で覆われてしまった。地球から見ると火星の表面の模様が不明瞭になってしまったため、15年ぶりに地球と大接近したにもかかわらず、火星の模様をはっきりと観察することはできなかった。
一方、火星では塵の影響で、太陽光が表面に届きにくくなった。そのため、太陽電池パネルによって電力を得ていたNASAの探査車「オポチュニティ」は発電ができなくなり、冬眠モードに入って交信が途絶えてしまった。
そのオポチュニティの姿を、NASAの火星探査機「マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)」に搭載された高解像度カメラ「HiRISE」がとらえた画像が公開された。オポチュニティは、移動中だった「パーサヴィアランス谷(Perseverance Valley)」の斜面に位置する小さな物体としてとらえられている。
オポチュニティは2007年にもダストスト―ムに遭遇している。その際の大気の不透明度の値は5.5(大きいほど不透明)ほどだったのに対し、今回は10以上にまで悪化していたと見積もられている。9月20日にMROが取得した画像によると、不透明度の値は約1.3まで改善したことが示されており、ダストストームの影響が小さくなったことがうかがえる。
しかし、依然としてオポチュニティとの交信は途絶えたままだ。NASAジェット推進研究所の運用チームは、火星で14年も探査を続けてきたオポチュニティに向けて、コマンドの送信頻度を上げて通信を試みている。
〈参照〉
- NASA JPL:Opportunity Emerges in a Dusty Picture
- The University of Arizona:Opportunity Rover in Western Endeavour Crater
〈関連リンク〉
- Mars Exploration Rover Mission
- NASA Mission Status Update: Spirit and Opportunity
- アストロアーツ:
- 星ナビ2018年7月号 火星観測ハンドブック付録、火星探査の歴史を大特集
- 【特集】火星大接近(2018年7月31日 地球最接近)
- 天体写真ギャラリー:2018年 火星
関連記事
- 2024/12/03 2024年12月上旬 火星とプレセペ星団が接近
- 2024/11/14 2024年11月20日 月と火星が接近
- 2024/10/22 【特集】火星(2025年1月12日 地球最接近)
- 2024/10/17 2024年10月23日 月と火星が接近
- 2024/10/03 火星の地震波が示す、液体の水が地下に存在する可能性
- 2024/10/03 「火星のクレーター」を教室に再現!ドラマ「宙わたる教室」が10月放送開始
- 2024/09/25 太古の火星でホルムアルデヒドが有機物生成に寄与
- 2024/08/07 2024年8月中旬 火星と木星が大接近
- 2024/07/24 火星大気中の塩化水素を全球で検出
- 2024/07/11 2024年7月下旬 火星とプレアデス星団が接近
- 2024/07/08 2024年7月中旬 火星と天王星が大接近
- 2024/06/25 2024年7月2日 細い月と火星が接近
- 2024/06/17 火星の赤道地方の山頂で霜を検出
- 2024/05/27 2024年6月3日 細い月と火星が大接近
- 2024/05/17 初期火星の有機物は一酸化炭素から作られた
- 2024/04/24 2024年5月5日 火星食
- 2024/04/24 2024年5月5日 細い月と火星が接近
- 2024/04/19 2024年4月下旬 火星と海王星が大接近
- 2024/04/04 2024年4月中旬 火星と土星が大接近
- 2024/02/15 2024年2月下旬 金星と火星が大接近