11年前に行方不明となった火星着陸機「ビーグル2」を発見

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NASAの火星探査機の画像から、2003年に行方不明となったイギリスの火星着陸機「ビーグル2」が見つかった。太陽電池パネルが一部展開していない状態とみられ、これが通信不全の原因になったようだ。

【2015年1月19日 ESA

ヨーロッパの火星周回探査機「マーズエクスプレス」に搭載され2003年6月に打ち上げられた着陸機「ビーグル2」は、同年12月に母船から切り離されて火星に軟着陸する予定だったが、降下途中に通信を絶った。全長2m足らずの小さな円盤型をした同機の姿は、それ以降の捜索でも見つかっていなかった。

火星探査機MROがとらえたビーグル2の機体
火星探査機MROがとらえたビーグル2の機体(提供:HIRISE/NASA/Leicester)

10年以上経って、NASAの火星探査機「マーズ・リコナサンス・オービター」(MRO)が2014年に撮影した画像からビーグル2の機体が発見された。見つかった場所は着陸予定地だったイシディス平原で、大気圏突入と着陸自体はほぼ問題なく遂行されていたことがわかる。画像からは4枚の太陽電池パネルのうち一部が開いていないことがうかがえ、そのためにアンテナが覆われたままになり通信が行えなくなったようだ。

当時の「マーズエクスプレス」プロジェクトマネージャーのRudolf Schmidtさんは、「ビーグル2に一体何が起こったのか、ずっと心に引っかかったままでした。ともかくも地上に到達していたことがわかったのは素晴しいニュースです」と喜んだ。

本体のほかに着陸用パラシュートや裏面カバー等のパーツとみられるものも周辺で見つかっており、今後の確認が待たれる。

ビーグル2の各パーツとみられるもの
本体のほかに、着陸用パラシュートや裏面カバーとみられるものも見つかっている(提供:NASA/JPL-Caltech/Univ. of Arizona/University of Leicester)

ビーグル2のイラスト
英科学者チャールズ・ダーウィンの調査船にちなんで名付けられたビーグル2は、火星の地質サンプルなどから生命の痕跡を探ることを目的としていた(提供:ESA/Denman productions)