天の川銀河の周囲に11本の恒星流を新発見

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「ダークエネルギー・サーベイ」のデータから、他の銀河で生まれ天の川銀河へとやってきた星の存在を示す恒星流が新たに11本発見された。

【2018年1月15日 NOAO

私たちが夜空に見る星はすべて、天の川銀河に属している。そのほとんどは天の川銀河内で誕生したものだが、他の銀河で生まれ、天の川銀河へと移動してきた星も存在している。

星が他の銀河から移動してきた証拠となるのが、天の川銀河と小さな銀河が作用した際に形成された星の流れだ。小銀河が天の川銀河の近くにやってくると、天の川銀河の重力によって小銀河内の星が引き出され、それが恒星流となって宇宙空間に広がるのである。恒星流は宇宙地図作成プロジェクト「スローン・デジタル・スカイサーベイ」のデータなどから、これまでに20本ほどが発見されていた。

チリのセロ・トロロ汎米天文台で実施されている、ダークエネルギーの性質に迫るための掃天観測「ダークエネルギー・サーベイ(DES)」の研究チームは、観測で取得されたデータから11本の新しい恒星流を発見したと発表した。

11本の恒星流
今回発見された11本の恒星流とダークエネルギー・サーベイの空域図。図中のATLAS、Molonglo、Phoenix、Tucana IIIの4つは以前から知られていた恒星流(提供:Dark Energy Survey)

DESのデータからはこれまでに数多くの矮小銀河が発見されている。矮小銀河は暗く拡散しているため発見は容易ではないが、それよりはるかに広い領域に星が広がっている恒星流を見つけることはさらに難しい。「新たな恒星流が発見できたのは、DESが最も深く広範囲の掃天観測で、最も良く較正されているおかげです」(DESチームメンバー Alex Drlica-Wagnerさん)。DESの公開データには4億個の星や銀河が含まれており、全天の8分の1という広い範囲をカバーしている。

複数の恒星流
DESの視野のカラー画像。複数の恒星流が黄色っぽい筋となって見えている(提供:Alex Drlica-Wagner (Fermilab), Nora Shipp (U. Chicago), and the DES Collaboration)

主にダークエネルギーの性質の理解を目指して実施されたDESだが、そのデータからは地球接近小天体から遠方に位置するクエーサーに至る、様々な研究分野につながる発見がもたらされている。「DESのデータは『デジタルの天空』として、あらゆる人がアクセスできます。そのデータが新しい予期せぬ発見のクラウドソーシングにつながることに期待しています」(アメリカ国立光学天文台 Adam Boltonさん)。

DESがSDSSの後を継いでいるのと同様、DESに続く次世代サーベイ「大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(Large Synoptic Survey Telescope; LSST)」の建設がチリで進められている。2020年にはLSSTがさらに広く深い宇宙の光景を届けてくれるようになり、画像だけでなく高解像度の動画として、多様性に富む天空の様子がとらえられるようになる。LSSTは稼働初年度内に180億個の天体をカタログ登録する予定で、DESやSDSSのカタログの天体数が小さく感じられるようになるだろう。