中村さんと金子さん、へびつかい座に新星を発見

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11月10日、三重県の中村祐二さんが、へびつかい座に9等級の新星を発見した。翌11日には静岡県の金子静夫さんも同天体を発見している。

【2017年11月15日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

へびつかい座は6月ごろには真夜中の南の空に見ることができますが、11月中旬ともなると夕方の南西の低い空に短時間しか見ることができません。そんなへびつかい座の中に新たな新星が発見されました。新星を発見したのは三重県亀山市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんと静岡県掛川市の金子静夫(かねこしずお)さんです。

中村さんは11月10.3717日(世界時、以下同様、日本時間10日18時ごろ)に焦点距離135mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した画像から9.5等の新天体を発見しました。また、金子さんも11.3736日(日本時間11日18時ごろ)に焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラで撮影した画像からこの天体を9.4等で独立に発見しました。

金子さんが11月4日に撮影した画像や中村さんが11月9日に撮影した画像には、この天体は写っておらず、9日から10日のわずか1日の間に明るくなった天体であること、中村さんご自身による11日の確認観測ではこの天体は前日の発見時よりも1等ほど増光したことがわかりました。

千葉県の野口敏秀さんや清田誠一郎さんによる確認観測によると、この天体の正確な位置は以下のとおりです。比較的赤い色をしています。

赤経  17h18m45.01s
赤緯 -24°54′21.8″ (2000年分点)

野口さん撮影の新星
野口さんが12日に撮影した確認観測画像

11月12日に岡山県の赤澤秀彦さんによって行われた分光観測によると、この天体のスペクトルには幅の広いHα輝線が見られることがわかりました。また、チリにあるSOAR 4.1m望遠鏡を使って行われた分光観測から、幅の広い水素のバルマー系列の輝線の他に一階電離した鉄の輝線が見られることがわかり、これらの結果から、この天体は古典新星であることが確認されました。

へびつかい座の新星の位置
へびつかい座の新星の位置。クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で表示)