プレアデス星団の星々の自転速度を測定

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NASAの探査衛星「ケプラー」の観測から、プレアデス星団の星々の自転速度が計測された。星の周囲のどこでどのように惑星が形成されるのか、星団の星がどう進化するのかについて理解が深まると期待されている。

【2016年8月16日 NASA JPL

日本では「すばる」という名前でよく知られているプレアデス星団は、地球からおよそ440光年の距離に位置する若い星の集まりだ。星々の年齢は約1億2500万歳で一生のうちの「若い成人期」に相当し、その自転速度は生涯を通じて最も高速の状態にあると考えられている。

プレアデス星団
NASAの赤外線天文衛星「WISE」(現:NEOWISE)がとらえたプレアデス星団。4種類の赤外線波長による観測データをもとにした擬似カラー画像(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA)

米・カリフォルニア工科大学のLuisa Rebullさんたちの研究チームは、NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」の「K2ミッション」でプレアデス星団を72日間にわたって観測し、750個以上の星の自転速度を調べた。

太陽の黒点と同様、恒星の表面にも磁場の影響で低温の暗い部分が存在する。星の自転に伴って暗い部分が見え隠れすることにより星の明るさが変化するので、その明るさの変化から星の自転速度がわかる。とくに、若い星では強力な磁場の影響によって暗い部分が巨大になるため、自転に伴う明るさの変化も大きくなり、自転速度が測りやすくなる。

観測データから、質量の大きな星ほど自転速度が遅く、小さな星ほど速いという傾向が明らかにされた。質量の大きい星(太陽と同程度)の自転周期は1日から11日、小さい星(最も小さいもので太陽の10分の1ほど)の多くは自転周期が1日以下だった。

こうした自転速度の違いは、星の内部構造の違いによると考えられている。大きい星はその内部の対流層が薄く、反対に小さい星ではほぼ全体が対流層だ。星の自転は星からの質量放出(恒星風)と磁場の働きによって遅くなるのだが、この磁場ブレーキは対流層が薄い大きい星のほうに効果的に影響するのである。

プレアデス星団は地球に近いので、今後の観測で星の自転速度とその他の特徴との間にある複雑な関係も明らかにできそうだ。星の特徴は、その周りを回る系外惑星の気候や生命に適した環境の有無にも関係してくる。

「プレアデス星団と他の星団とを比較することにより、星の質量や年齢との関係、その星系における歴史についても多くのことが今後わかってくるだろうと期待しています」(Rebullさん)。

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