分子雲では初となる直線炭素鎖分子の検出

このエントリーをはてなブックマークに追加
電波観測により、おうし座の分子雲領域に直線炭素鎖分子C7Hが検出された。分子雲に見つかったのは初めてのことで、原始地球の有機物の起源を解明する手掛かりともなる結果だ。

【2017年10月5日 東京理科大学

黒鉛、ダイヤモンドに次ぐ、炭素の第三の形態である直線炭素鎖分子は、他の分子との衝突で簡単に壊れてしまうため地球上では天然に存在せず、高真空かつ極低温の宇宙空間に特有の炭素の形態である。実際に宇宙空間では多くの直線炭素鎖分子が発見されており、これまでに検出されている分子の4割程度がこのグループに属している。

こうした直線炭素鎖分子が進化して安定になり、原始地球に最初の有機物としてもたらされたと広く考えられている。分子の化学進化を解明し地球の有機物の起源を調べるうえで、直線炭素鎖分子の存在は重要だ。また、宇宙空間のある領域の化学組成を調べる際にも、この種の分子が一つの指標になる。

東京理科大学の荒木光典さんたちの研究チームは、米・国立電波天文台のグリーンバンク100m電波望遠鏡を用いて、おうし座分子雲領域にある低質量星形成領域L1527を観測した。L1527ではこれまでに、炭素が5個以下の短い直線炭素鎖分子が観測されており、それ以上の長いものはほとんど存在しないと考えられていた。

のべ43時間にわたる電波観測と微弱な信号の積算処理を行ったところ、直線炭素鎖分子の一つであるC7Hの存在が明らかになった。他の種の天体でC7Hの検出例はあったが、分子雲における検出は初めてのことで、長い直線炭素鎖分子も豊富に存在することを示す結果である。

検出されたC7Hの電波信号
検出されたC7Hの電波信号。4本の電波信号それぞれでは微弱な信号しか見られないが、4本のスペクトルの重ね合わせ処理を行ったところ、はっきりとしたピークが現れた(提供:プレスリリースより、以下同)

分子雲と直線炭素鎖分子C7H
分子雲と直線炭素鎖分子C7Hのイメージイラスト

さらにこの検出成功は、他の暗黒星雲や星形成領域でもC7H分子が観測できる可能性や、より長い直線炭素鎖分子C8HがL1527領域に観測に十分な量存在することも示している。今後の観測で分子雲の化学組成と化学進化がより明らかにされ、原始地球の有機物の起源が解明されることが大きく期待される。