天の川銀河のバルジに見られる巨大なX字形構造

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研究者によるツイッターへの投稿がきっかけで、天の川銀河の中心部に存在する、星が作る巨大なX字形構造の姿が明らかになった。

【2016年7月22日 NASA JPLUniverity of Toronto

事の発端は、2015年5月にカナダ・トロント大学ダンロップ研究所のDustin Langさんが、 NASAの広域赤外線天文衛星「WISE」(現・NEOWISE)による2010年の観測データを使った銀河の分布図をツイッターに投稿したことだった。

赤外線は、可視光線では決して見ることのできない構造を見せてくれる。Langさんが使用したデータは、天の川銀河外に存在する銀河が織り成す網の目状の分布図を作成するためのものだった。

しかし、Langさんのツイートを見た他の研究者の目を引きつけたのは、天の川銀河の姿だった。天の川銀河の中心部のバルジ(球状のふくらみ)中に、アルファベットのX字の形をした構造が見えたのだ。これまでにもX字形構造の存在は報告されていたが、今回の画像では非常に明瞭にとらえられている。独・マックスプランク天文学研究所のMelissa Nessさんはその構造の重要性に気づき、Langさんと共同で天の川銀河のバルジの分析を始めた。

天の川銀河の全天画像とX字形構造の強調画像
WISEによる天の川銀河の全天画像。丸で囲まれた領域が天の川銀河の中心、右上の丸はX字形構造の強調画像(提供:NASA/JPL-Caltech/D. Lang)

「バルジは天の川銀河の形成の鍵となるものです。バルジを理解することは、銀河を作り現在のような形にしたプロセスの理解につながるのです」(Nessさん)。

天の川銀河を含めて、近傍にある円盤銀河のうち約3分の2には、中心部分に棒状構造が存在する。時とともに棒状構造は不安定となり、バルジには銀河面に対して垂直に激しく出入りする星が含まれるようになる。その様子を側面から見ると、軌道を周る星が箱形またはピーナツ形に分布しているように見えるはずであり、銀河の中心を交差する星々でできた巨大なX字形構造が現れる。

バルジは銀河の合体でも形成されるが、天の川銀河は少なくとも過去90億年間は大きな銀河と合体していない。「WISEによる画像では、箱形構造中にはっきりとX字形構造が見えています。バルジ形成が銀河内部の作用によるものであり、バルジの形成以降に他の銀河との大規模な相互作用が起こっていないことを表しています」(Nessさん)。