伸びた楕円軌道の連星、ハートビート星に迫る

このエントリーをはてなブックマークに追加
心電図のような明るさの変化を示す連星系「ハートビート星」に迫る最新の研究成果が発表された。長く伸びた楕円軌道には未発見の星の存在が関係しているのかもしれない。

【2016年10月27日 NASA JPL

「ハートビート(Heartbeat:心拍、鼓動)星」(HB星)という名は、明るさの変化をグラフにすると心電図のような波形を描くことに由来する。その正体は、伸びた楕円軌道を公転する連星系だ。2つの星の間隔は、一番近いときには星の半径の数倍まで小さくなり、反対に一番遠い時には最接近時の10倍ほどまで大きくなる。

ハートビート星の概念図
ハートビート星の概念図。変形した星や明るさの変化を示している(提供:NASA/JPL-Caltech)

星が最接近する際、互いの重力によって星が変形し、球体から少しつぶれた楕円体になる。この変形が明るさの変化を生む一因だ。また、星を変形させる潮汐力は、星の振動も引き起こしている。

NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」は、数多くのHB星を発見してきた。2011年に「KOI-54」という星が41.8日周期で増光することが確かめられ、続く2012年の研究で同種の17個の天体が「ハートビート星」と呼ばれるようになった。

NASAジェット推進研究所のAvi Shporerさんたちの研究チームは米・ハワイのケック天文台でHB星の追加観測を行い、星の特徴や軌道の形を調べた。「HB星は太陽に比べて高温で、太陽より大きい傾向にあるようです。しかし、調べていないHB星の中には、そうでないものもあるかもしれません」(Shporerさん)。

さらにShporerさんたちは、HB連星系のうちのいくつかに、3つ目あるいは4つ目の見つかっていない星が存在する可能性を主張している。「HB連星系の軌道は、潮汐力によってすぐに楕円軌道から円軌道に変化するはずなのです。3つ目の星が存在していれば、極度に引き伸ばされた楕円軌道を作り出す一つの方法となりえます」(NASAエイムズ研究センター Susan Mullallyさん)。

〈参照〉

〈関連リンク〉