欧・露の探査ミッション「エクソマーズ」が火星に向け出発

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日本時間14日午後、火星探査ミッション「エクソマーズ」の周回探査機と着陸実証機を搭載したプロトンMロケットが打ち上げられ、7か月間に及ぶ2機の火星への旅がスタートした。

【2016年3月15日 ヨーロッパ宇宙機関

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)とロシア・ロスコスモスによるエクソマーズ(ExoMars)計画は、今回打ち上げられた微量ガス周回探査機(Trace Gas Orbiter; TGO)と着陸実証機「スキアパレッリ」、そして2018年打ち上げ予定の探査車の3つで構成されている。計画の目的は、火星の大気を調べ、現在火星で地質学的、生物学的な活動が起こっているかどうかを調べることにある。

TGOとスキアパレッリを搭載したプロトンMロケットは日本時間14日午後6時31分に打ち上げられた。通信の確立や太陽光発電ウィングの展開などを経て、2機は7か月に及ぶ火星への旅をスタートした。

プロトンMロケットの打ち上げ
プロトンMロケットの打ち上げ(提供:ESA-Stephane Corvaja, 2016)

「ミッションが最高のスタートを切ることができ、ロシアというパートナーに感謝します。これからわたしたちは共に火星探査を行っていきます」(ESA Johann-Dietrich Woernerさん)。「偉大な成果を得るためには“協力”というプロセスが欠かせません」(ロシア・ロスコスモス Igor Komarovさん)。

両機はしばらく一緒に旅をして、10月16日に火星から90万kmの位置で分離する。その後、10月19日にスキアパレッリは6分未満で火星の大気に突入し、表面へと下降する。スキアパレッリは将来のミッションに向けて、大気突入、下降、そして着陸技術の実証を行う。また、短期間ではあるが、火星の表面で環境を調査する予定だ。たとえば、火星の表面で初となる電場計測を行い、塵の濃度計測の結果と合わせて、火星の砂嵐を引き起こす塵上昇に対する電場の影響を探る。

一方、同じ日にTGOは、4日間で火星を一周する楕円軌道(TGO・火星間の距離は約300kmから9万6000km)に入る。その後、1年かけてゆっくり高度を下げ、最終的には高度400kmの円軌道に入り、大気中の希薄なガスの分析を開始する。

火星を探査するTGOの想像図
火星を探査するTGOの想像図(提供:ESA/ATG medialab)

中でもとくに興味深いのはメタンである。地球上でメタンは、地質学的な活動や生物学的なプロセスが起こっている証拠だからだ。ミッションが目指す重要なゴールは、ESAの火星探査機「マーズエクスプレス」が2004年に検出したメタンの追跡調査である。エクソマーズ・ミッションでは従来と比べて正確性が3桁も向上しており、メタンの発生と崩壊に関するプロセスが調べられる。

またTGOは、微量ガスに関係があるかもしれない火山など火星表面の撮影も行う。さらに、地下に埋もれている堆積した水の氷も検出することができる。水の氷に関する情報と微量ガスの発生位置を特定することは、将来のミッションの着陸地点の選択にも役立つ。

エクソマーズ・ミッションでは、2018年5月にミッション第2弾として探査車などを打ち上げる予定だ。火星到着は2019年初めで、TGOは探査車のためのデータ中継役も担うことになっている。

「わたしたちは今回のミッションで科学的データが得られることを楽しみにしているだけではありません。第2のエクソマーズ・ミッションへの道を拓くためにも、今回が重要なのです。第2弾では、火星を周回する軌道上からの探査から、表面や地表下の土壌や岩石を調べる探査を行います」(ESA Alvaro Gimenezさん)。

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