SLIMが寒暖差に耐えて2回目の越夜に成功
今年1月20日に日本初の月面軟着陸に成功したJAXAの小型月着陸実証機「SLIM」は、1月31日に休眠に入った後、2月25日に地上からのコマンドに応答して月面での越夜に成功した。さらにその後、着陸地点が日没を迎えたため、3月1日に再び休眠に入っていた。
SLIM運用チームでは、3月26日夜から再び太陽光がSLIMの太陽電池に当たり始めるのに合わせて、2回目の越夜後のSLIM再起動に向けた運用を26日に開始した。27日の夜にコマンドを送信するとSLIMから応答があり、厳しい寒暖差にさらされ続けているにもかかわらず、SLIMが2回目の越夜に成功したことが確認された。
応答時点では太陽が高く機器が高温だったため、航法カメラを用いた撮影などは短時間のみ実施されている。温度センサーなどに不調があるものの、1回目の越夜後に確認された主な機能は引き続き維持されているとみられている。
一方、マルチバンド分光カメラ(MBC)は、1回目の越夜成功の後に起動はしたものの、正常に動作せず追加の観測は実施できなかった。その際にMBCチームは、次の観測の機会に向けて得られているデータなどをもとに調査を進めると発表していたが、今回もMBCによる観測は難しいかもしれないようだ。
〈参照〉
- 小型月着陸実証機SLIM X:
- これからいっぱい撮影するとそのうち何か映り込んだりするかもしれないね(3月28日午後1時26分)
- 基本は全く何も動いていない写真になるはずだけど影の長さの変化とかに注目してみてね(3月28日午後1時24分)
- 一部不調が出始めていますが、主要な機能は2回目の越夜でも引き続き維持されているようです(3月28日午前10時38分)
- 昨晩SLIMから応答があり、SLIMが2回目の越夜に成功したことを確認しました(3月28日午前10時37分)
- 計算上の発電量もまだ多くはありませんので今晩応答があるかはわかりませんが、チーム一同最善を尽くして取り組みます(3月26日午後5時4分)
- 本日より、2回目越夜後のSLIM再起動に向けた復旧運用を実施します(3月26日午後5時4分)
- MBCは想定通り起動しましたが、正常には動作しませんでした。今後、得られたデータ等から次回の機会へ向けて調査を行っていきます(3月1日午後7時50分)
〈関連リンク〉
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