星座八十八夜 #48 神と人間の双子「ふたご座」

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「冬の大六角形」の東側にあるのが〈ふたご座〉です。頭の星カストルとポルックスは、ギリシア神話の双子の名前にちなんで付けられています。ほとんど同じ明るさで、銀色と金色に並んで輝きます。

【2023年12月15日 アストロアーツ

星座八十八夜

「スマホで楽しむ星空入門」より抜粋)

見どころ

〈ふたご座〉の目印は、同じくらいの明るさで仲良く並ぶ2つの星、カストルとポルックスです。「冬の大三角」の東側の星、〈こいぬ座〉のプロキオンから北の地平線の方向をさがすと、これらの星が並んでいるのが見つかります。プロキオンに近く、やや明るくオレンジ色に見える方が双子の弟で1等星のポルックスです。双子の体を表す星は、カストルとポルックスから〈オリオン座〉の方向へ並んだ星たちです。

〈ふたご座〉は「黄道十二星座」の一つで、5月21日~6月21日生まれの人の誕生星座となっています。

また、毎年12月14日ごろにたくさんの流星が出現する「ふたご座流星群」の放射点(流星の中心)も、名前のとおりこの星座のカストルの近くにあります。

ふたご座

星座の起源

古代バビロニアではカストルとポルックスを「大きな双子」と呼んでいて、〈ふたご座〉の胴体のあたりに「小さな双子」という星座も作りました。

ギリシアで〈ふたご座〉は今の形になりましたが、その正体については無名の双子とする人もいれば、双子ではなく音楽の神アポロンと英雄ヘルクレスが並んでいるという人もいました。星座絵で2人がたて琴と棍棒(こんぼう)を持っているのはこのときのなごりです。

同じくらいの明るさで仲良く並んだカストルとポルックスは、多くの国で何かのペアに見立てられていました。

日本でもこの星座は多くの人の目についていたようで、いろいろな和名が伝えられています。暗闇で光る2つの目を想像させるところから、「猫の目」「カニの目」「カレイの目」など動物の目に見られることが多かったようです。2つの星の色の違いを見分けた「銀星」「金星」という美しい和名もあります。白いカストルが銀星、オレンジ色のポルックスが金星です。

星座の物語

ギリシア神話では〈ふたご座〉は、スパルタのテュンダレオス王妃レダが、白鳥(〈はくちょう座〉)に姿を変えた大神ゼウスと愛し合い、身ごもった卵から生まれた双子の兄弟の星座ということになっています。

同じ母から生まれた兄弟なのに、この双子にはただ一つ、違うところがありました。兄カストルはテュンダレオス王の体質を受け継いだために、いつかは死ぬ運命にあったのに、弟ポルックス(ギリシア語ではポリュデウケス、ポルックスはラテン語読み)はゼウスのように不死身だったのです。

いとこのイダス、リンケウス兄弟と戦ったときに、カストルはイダスに倒され、死んでしまいました。ポルックスはカストルの仇をとったものの、たいへん悲しみ、自分もカストルの後を追おうとしました。しかし、ポルックスは不死身だったので、いくらがんばっても死ぬことができませんでした。そこで、自分の不死の力をカストルに分け与えて生き返らせてほしいと神にお願いしたのです。ポルックスの、兄を思う気持ちを知った神は、2人を星座にして会わせてやりました。

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