木星氷衛星探査機「JUICE」打ち上げ成功

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ヨーロッパ宇宙機関が主導し、日本などが参加する木星氷衛星探査機「JUICE」が4月14日に打ち上げられ、木星の氷衛星エウロパ、カリスト、ガニメデを目指す8年の長旅を開始した。

【2023年4月17日 ESA

4月14日21時14分(日本時間)、木星氷衛星探査機「JUICE(ジュース)」を搭載したアリアン5型ロケットが南米フランス領ギアナのクールー宇宙基地から打ち上げられた。打ち上げは順調で、探査機は予定どおりにロケットから分離し、地上との通信を確立し、太陽電池パネルを展開して所定の軌道に入った。今後、地球や金星とのフライバイを重ね、8年かけて木星系に到達する。

「JUICE」の打ち上げ
「JUICE」の打ち上げ(提供:ESA/S.Corvaja and ESA/CNES/Arianespace/Optique Video du CSG/JM Guillon)

JUICEとは「JUpiter Icy Moons Explorer」、つまり「木星氷衛星探査機」だ。木星の大型氷衛星であるガニメデ、カリスト、エウロパにターゲットを絞った初めての探査機である。木星系に到達する6か月前の2031年1月から科学観測を開始し、同年7月から2034年11月までにエウロパに2回、カリストに30回以上の接近飛行を行う。その後ガニメデを周回する軌道へ入り、高度500kmまで近づきながら9か月間の探査を予定している。

JUICEの木星系までの旅と主な探査
約8年間にわたるJUICEの木星系までの旅と主な探査スケジュール。画像クリックで拡大表示(提供:ESA - CC BY-SA 3.0 IGO)

ステラナビゲータでJUICEの航路をシミュレーション

氷衛星には、太陽系形成当時の材料物質が残っていると期待される。そうした物質はガス惑星である木星からは得がたい。太陽系最大の惑星で、太陽系形成時に重要な役割を果たしたであろう木星の歴史を氷衛星から得ることが、JUICEの目的の一つである。

もう一つの重要な目的が、氷衛星の地下に存在すると考えられている海の調査だ。海の有無を調べるだけでなく、熱源や栄養源など、生命に欠かせない要素を探し、地球外生命が存在する可能性を追究する予定である。

さらに、木星のオーロラや磁気圏、そして太陽系の衛星で唯一固有の磁場を持つガニメデの周辺環境も調べる計画だ。

日本は、10個ある観測機器のうち6つの開発やサイエンスに参加している。「JUICEは、今、大きな関門を突破し出発しました。誰も行ったことのない世界を訪れ、誰も見たことのないデータを得て、多くの科学成果をお届けできるよう、ミッション完了までの長い10年、改めて身を引き締め取り組みます」(JAXA宇宙科学研究所 JUICE所内プロジェクトチームチーム長 齋藤義文さん)。

JUICEの打ち上げ中継「Juice launch to Jupiter」の録画(提供:European Space Agency)