ハワイ上空で発生した「流星クラスター」現象
【2021年8月11日 すばる望遠鏡】
国立天文台ハワイ観測所と朝日新聞は2021年4月に共同で米・ハワイ島マウナケア山のすばる望遠鏡ドームに「星空ライブカメラ」を設置し、マウナケア上空に広がる星空を高感度でとらえて毎日配信している。
この星空ライブカメラが、7月14日未明(ハワイ時間)、わずか10秒ほどの間に10数個もの流星が同じ方向から一度に流れる「流星クラスター」という珍しい現象をとらえた。クラスター現象に最初に気づいたのは「星空ライブカメラ」を見続けている熱心な視聴者たちで、配信映像のチャットが盛り上がったことから、カメラ管理者でもあるハワイ観測所の田中壱さんが国立天文台副台長の渡部潤一さんに連絡した。
星空ライブカメラがとらえた流星クラスター。10秒足らずの間に12個の流星が流れる。手前はマウナケア観測所群のドーム(提供:国立天文台・朝日新聞社)
渡部さんは2003年に流星クラスターの発生メカニズムを発表している。それによれば、流星物質が地球大気に突入する少し前に、何らかの原因で細かい破片に分裂することで流星クラスターが発生する。1997年のしし座流星群の際に初めて観測され、その後もわずか数例しか報告されていない貴重な現象だ。
「このような珍しい現象をとらえられた科学的意義はきわめて大きく、特に、全体の継続時間が従来のケースに比べて長いことが特徴で意義深いです。カメラの性能の進歩もありますが、マウナケアという世界第一級の観測サイトにカメラがあったことも、こうした希有な現象をとらえた大きな要因でしょう。これからもこのカメラが同じような珍しい現象をとらえていくことに期待しています」(渡部さん)。
流星クラスターは流星物質の構造に関する情報をもたらすと期待されており、研究者たちがこのデータを詳細に分析している。
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