カシオペヤ座に新星が出現

このエントリーをはてなブックマークに追加
7月下旬にカシオペヤ座に出現した新星が緩やかに明るくなっている。

【2020年8月12日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

7月下旬にカシオペヤ座の中に発見された新星が11等ほどの明るさになっています。

この新星は7月27.9302日(世界時、以下同。日本時では28日7時20分ごろ)に、ロシアのKa-Dar天文台で焦点距離135mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影された画像から、同天文台のS. Korotkiyさんとモスクワ大学のK. Sokolovskyさんによって12.9等の新天体として発見されました。天体の位置は以下のとおりです。

赤経  00h11m42.96s
赤緯 +66°11′20.8″(2000年分点)

観測画像
観測画像(撮影:佐野康男さん)

カシオペヤ座の新星の位置
カシオペヤ座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

また、スペイン・ラ・パルマのFRAM-ORM広視野カメラで27.23087日(発見前)に撮影された画像に、この天体が13.15等で写っていることが発見後の調査でわかりました。

天体の分光観測は7月29日に露・コーカサス山天文台の2.5m望遠鏡で行われ、スペクトルにP Cygプロファイルを持つ水素のバルマー系列の輝線や1階電離した鉄、中性のナトリウムの輝線が見られることがわかりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であると判明しました。

新星は発見後の7月29-30日ごろにいったん14等近くまで暗くなったものの、その後はゆっくりと増光を続けています。これまでにVSOLJに報告された観測によると、8月1日に13等、8月4日ごろには12等、8月9日ごろには11等まで明るくなりました。今後の明るさの変化や、それに伴なうスペクトルの変化が注目されます。