山本さんと櫻井さん、いて座に新星を発見

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愛知県の山本稔さんが1月30日、いて座に11等台の新星を発見した。茨城県の櫻井幸夫さんも31日に独立発見している。

【2020年2月5日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

1月末になると明け方の東の空には早くも夏の星座が見え始めます。そんな星座の一つ、いて座の中に新星が発見されました。新星を発見したのは愛知県岡崎市の山本稔さんです。

山本さんは1月30.8568日(世界時、以下同。日本時では31日5時34分ごろ)に焦点距離180mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から、いて座の中に11.5等の新天体を発見しました。山本さんは翌日の31.839日に撮影した画像にもこの天体が写っていることを確認しました。

また、茨城県水戸市の櫻井幸夫さんも、31.841日(日本時では2月1日5時11分ごろ)にこの天体を独立に発見しました。

千葉県の清田誠一郎さんや山形県の板垣公一さんによって行われた詳細な位置や明るさの観測によると、この天体の正確な位置は以下のとおりです。

赤経  17h56m14.04s
赤緯 -29°42′58.0″(2000年分点)

確認観測画像
確認観測画像(撮影:清田さん)

いて座の新星の位置
いて座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

その後の観測では、この天体は発見後それほど大きな変光は示しておらず、2月4日の時点では11.4等ほどで観測されています。

岡山県の赤澤秀彦さんは2月1.888日(日本時では2日6時19分ごろ)にこの天体の分光観測を行いました。その結果、この天体が強いHα輝線を示すことがわかり、同天体が古典新星であると判明しました。

山本さんの新天体発見は昨年9月以来、また櫻井さんの新天体発見は2018年6月以来となります。