12光年先の太陽に似た星に4つの地球型惑星

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12光年彼方の太陽に似た恒星「くじら座τ星」の周りに、地球サイズの惑星が4つ発見された。

【2017年8月15日 Keck Observatory

地球から12光年彼方に輝く3等星「くじら座τ(タウ)星」は、太陽よりもやや小さく低温ながら、太陽と同じスペクトル型がG型の星だ。近いことと太陽に似ていることから、地球外知的生命体探査計画「オズマ計画」のターゲットの一つとして選ばれるなど研究対象として興味深く、様々なSFの舞台としても取り上げられている。

英・ハートフォードシャー大学のFabo Fengさんたちは、チリのヨーロッパ南天天文台ラ・シーヤ観測所と米・ハワイのケック望遠鏡の観測データから、くじら座τ星の周りに地球と同程度の質量を持つ系外惑星を4個発見した。太陽系に近いところにある太陽に似た星の周りに見つかったものとしては、最小クラスの系外惑星となる。

発見された4つの惑星と太陽系の内惑星のイラスト
くじら座τ星の周りに発見された4つの惑星(上)と、太陽系の内惑星(下)を比較したイラスト(提供:F. Feng, University of Hertfordshire, U.K.)

4つの惑星は、惑星の重力による中心星のふらつきを観測すること(ドップラー法)によって検出されたものだ。くじら座τ星のふらつきを観測するには、1秒あたり30cmというわずかな動きの変化を検出できるだけの技術が必要とされる。惑星が小さければ中心星に惑星が及ぼす重力も小さいため、中心星のふらつきを検出することもいっそう難しくなる。「今回わずかなふらつきを検出できたことは、地球のような惑星探しにおいて、また地球のような惑星との比較から地球上にある生命の居住を許す環境への理解を深める上で、画期的なことです」(Fengさん)。

「データが惑星由来のシグナルなのか恒星由来なのかの違いを見分ける独創的な方法を思いつき、その技術の精度向上を図ってきました。観測波長を変えると恒星の活動が異なって見えることを利用し、惑星のシグナルから恒星の活動を分離するのです」(ハートフォードシャー大学のMikko Tuomiさん)。「惑星によって引き起こされるふらつきと、活動が活発な恒星の表面によって引き起こされる現象との違いを徐々に見分けられるようになってきたおかげで、2013年にとらえられ惑星からのものと思われたシグナルのうち2つを除外することができました。そのうえで、どう見ても少なくとも4つの岩石惑星が存在していることが示唆されました」。

見つかった4つの惑星のうち外側の2つはハビタブルゾーンに位置するスーパーアースで、表面には水が液体で存在できる環境が存在すると考えられる。ただし、中心星の周りには巨大なデブリ(惑星形成材料の残骸)の円盤があるため、惑星は小惑星や彗星が衝突を繰り返すような生命に優しくない環境かもしれない。