太陽の100倍以上もの質量を持つ9つのモンスター星

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大マゼラン雲にある星形成領域「タランチュラ星雲」の中の若い星団に、太陽の100倍以上もの質量を持つモンスター級の大質量星が9つ見つかった。

【2016年3月25日 ESA Hubble Space TelescopeHubbleSite

R136は地球から17万光年の距離にある銀河「大マゼラン雲」の星形成領域「タランチュラ星雲」に位置する若い星団だ。大きさは差し渡し数光年しかないが、巨大で高温の明るい星が多く存在している。

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)による観測で、このR136に太陽の50倍以上の質量を持つ星が数十個、そして太陽の100倍以上もの大質量星が9個確認された。9つの星すべての明るさを足し合わせると、太陽の3000万倍にも達する。

タランチュラ星雲。右下がR136
タランチュラ星雲の一部。右下の星の集団がR136(提供:NASA, ESA, and P. Crowther (University of Sheffield))

9つの星からは1か月に地球1個分ほどの物質が光速の1%に近い速度で噴き出しており、猛烈な勢いで質量を失っている。

2010年、英・シェフィールド大学のPaul Crowtherさんらは、R136に太陽質量の150倍以上の大質量星を4つ発見した。そのうちの一つR136a1は太陽の250倍以上もの質量があり、現在知られている星の中で最も大質量だ。これら4つの星の質量は当時一般的に認められていた星の上限質量を超えていたため研究者を驚かせたが、今回さらに新たに、太陽質量の100倍を超える5つの星の存在が明らかになった。

「モンスター星は、もう少し小さな星同士の連星系で星が合体してできたのではないかと考えられてきました。しかし、大質量星同士の合体の頻度を元に考えると、合体説でR136に見られる大質量星のすべてを説明できるというわけではなさそうです。こうした大質量星の起源は、形成プロセスに隠されているようです」(共同研究者 Saida Caballero-Nievesさん)。