星出さんがISS船長に就任、野口さんは無事帰還

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国際宇宙ステーションでの長期滞在を開始した星出彰彦さんが4月28日に船長に就任した。一方、165日間の滞在を終えた野口さんは5月2日に宇宙船「クルードラゴン」で帰還した。

【2021年5月6日 JAXA(1)(2)

4月24日(日本時間、以下同)に国際宇宙ステーション(ISS)へ到着した星出彰彦さんは、28日にISS船長(コマンダー)としての任務を開始した。同日に行われた船長就任セレモニーでは、前任のShannon Walkerさんから星出さんへ、船長就任の証として歴代のISS船長に引き継がれている「鍵」が渡された。星出さんは、約5か月間にわたって搭乗員を統括し指揮を執る。

セレモニーにおいて、Walkerさんと星出さんは、それぞれ次のように語った。

「素晴らしいクラスメイトであり、友人でもある星出彰彦氏に船長を引き継げることを嬉しく思います」(Walkerさん)。「ありがとうございます。素晴らしいクラスメイトであり友人でもあるShannonさんから船長を引き継げるのはとても光栄です。皆さんが築いてきた道を歩めることをとても誇りに思います。あとは私たちに任せてください!」(星出さん)。

ISS船長就任セレモニーを行う星出さんら11名のクルー
Shannon Walkerさんから、船長就任の証である「鍵」を受け取る星出さん(提供:NASA TV、以下同)

セレモニーの後では地球帰還を数日後に控えていた野口聡一さんたちも挨拶した。「6か月間の旅は終わりを迎えますが、友情は素晴らしい思い出とともに永遠に続きます」(野口さん)。

野口さんたち
野口さんたち


165日間ISSに滞在した野口さんたち4名の宇宙飛行士を乗せた米・スペースX社の宇宙船「クルードラゴン(クルー1)」は、5月2日15時56分に米・フロリダ州パナマシティ沖に無事着水した。

3回の宇宙飛行を終えた野口さんの宇宙滞在時間は通算344日9時間34分で、日本人宇宙飛行士としては若田光一さんの347日8時間33分に次ぐ2番目の長さとなった。

帰還したクルードラゴン宇宙船
大気圏再突入後にパラシュートを開いて減速・着水し、回収船上に引き上げられたクルードラゴン宇宙船

《宇宙航空研究開発機構 山川宏理事長談話(抜粋、要約)》

国際宇宙ステーションでの長期滞在を終えた野口宇宙飛行士が、クルードラゴン宇宙船(クルー1)にて無事帰還いたしましたことをたいへん嬉しく思います。

野口宇宙飛行士は、ミッションテーマである「挑戦」の下、数多くのミッションを確実に遂行してまいりました。特に、臓器創出を目指した立体培養技術の開発や、火災安全性向上に向けた固体材料の燃焼現象に関する実験準備等を実施し、微小重力を生かした新たな研究領域創出を可能としました。船外活動では、新規システムとなる新型太陽電池アレイの架台取付けを行うなどISSのアップグレードにも貢献しました。

滞在中に得た経験を、長期滞在を開始した星出宇宙飛行士ならびに今後長期滞在を控える若田宇宙飛行士、古川宇宙飛行士につなげるとともに、ISS・「きぼう」等の地球低軌道利用の拡大や、月探査などの国際宇宙探査の技術開発・国際協力に反映していくことを期待しております。

クルードラゴン宇宙船(クルー1)の帰還中継録画「野口さん、地球におかえりなさい」」(提供:JAXA)