探査衛星TESS、地球サイズの惑星を初発見

このエントリーをはてなブックマークに追加
探査衛星「TESS」が地球とほぼ同じサイズの系外惑星を発見した。TESSが発見した10個目の惑星で、地球サイズのものとしては初めてとなる。

【2019年4月18日 カーネギー研究所NASA

ちょうど1年前の2018年4月18日に打ち上げられたNASAの衛星「TESS(Transiting Exoplanet Survey Satellite)」は、星の明るさの変化を観測して系外惑星を探査する衛星だ。天球上の一角や黄道に沿った領域の探査を行った系外惑星探査衛星「ケプラー」よりも広範囲にわたる、ほぼ全天を観測することで、比較的近いところにある数千個の惑星を発見することが期待されている。

米・カーネギー研究所のJohanna Teskeさんたちの研究チームはTESSの観測データから、レチクル座の方向53光年の距離に存在する8等星HD 21749の周りに 2個の系外惑星を発見した。

地球サイズの惑星「HD 21749 c」と小型海王星サイズの惑星「HD 21749 b」の想像図
中心星「HD 21749」(左上)と、地球サイズの惑星「HD 21749 c」(中央)、小型海王星サイズの惑星「HD 21749 b」(右↓)の想像図(提供:Illustration by Robin Dienel, courtesy of the Carnegie Institution for Science)

これらの惑星は地上からのフォローアップ観測によって質量が計算されている。先に存在が確認された惑星「HD 21749 b」は直径が地球の約2.7倍、質量は約23倍で、表面温度は摂氏150度ほどと見積もられており、高温で小型の海王星といったところだ。中心星を約36日周期で公転しているが、これはTESSがこれまでに発見した惑星の中で最も長い周期である。TESSの検出手法で発見される惑星のほとんどは公転周期が10日未満と予測されていることから、36日周期の惑星の発見は意外であった。

また、もう一つ発見された惑星「HD 21749 c」の直径は地球の90%ほど、質量は80%ほどで、地球に似たサイズの岩石質の惑星とみられている。約8日周期で公転しており中心星に非常に近いことから、表面温度は摂氏約430度と考えられている。HD 21749 cはTESSで発見された10個目の惑星であり、TESSが見つけたものとしては初めての地球サイズの惑星である。

「TESSの探査で地球サイズの惑星が数十個は見つかるだろうと期待していました。今回のこの1つ目は、TESSミッションにおけるマイルストーンです。今後も小さな惑星が発見されるでしょうし、その中には生命に適した環境を持つものがあるかもしれません」(米・MITカブリ物理学宇宙研究所 Diana Dragomirさん)。