地表の組成分布で明らかになる水星の過去

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探査機「メッセンジャー」が観測した水星地表の組成分布から、過去の天体衝突の痕跡やマントル物質の多様性が明らかになった。水星の地質構造がどのように作られたかを示す手がかりとなる。

【2015年3月16日 MESSENGER

探査機「メッセンジャー」による観測をもとに初めて作られた水星全体の地表組成マップから、組成が周囲と異なる領域がいくつか見つかった。今回見つかった中でも最大の、面積およそ500万km2の領域は、水星の地殻の主成分であるケイ素に対するマグネシウム、硫黄、カルシウムの比率が高いことから、天体衝突によりマントルの物質が露出した部分であると考えられる。

また、鉄や塩素、ナトリウムを示す熱中性子吸収の分布を調べた別の研究では、水星で最も有名な地形であるカロリス盆地の内部の組成が他の火山性の平地のものと異なっていることがわかり、水星のマントルが均一の組成ではないことがうかがえる。

2つの研究に関わったLarry Nittlerさんは、「水星の地殻は30億年以上前に形成されたもの。組成の多様性は、水星の全体的な組成や、マントルと地殻を作り上げたプロセスを知るヒントになるでしょう」と語っている。

水星の組成分布
さまざまな元素組成の分布から、水星の過去を示す特徴的な領域が見出された(提供:発表資料より)


メッセンジャーの位置と航路

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、メッセンジャーなど主な探査機の位置や航路を表示することができます。