ハッブルが撮影、3衛星の木星面同時通過

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1月24日、木星の4大衛星のうち3つが同時に木星面に重なるという珍しい現象をハッブル宇宙望遠鏡がとらえた。

【2015年2月10日 ヨーロッパ宇宙機関アストロアーツ木星特集

木星には数十個以上もの衛星が見つかっている。そのうちイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4つ、通称「ガリレオ衛星」は、双眼鏡や小口径の天体望遠鏡でも見ることができるおなじみの天体だ。1610年に天文学者ガリレオ・ガリレイが発見したため、この名が付けられている。

1月24日7時ごろ(世界時、以下同)、このガリレオ衛星のうち3つが同時に木星面と重なるという珍しい現象が起こり、ハッブル宇宙望遠鏡がそのようすをとらえた。画像は6時28分にイオとカリストが木星面上に位置するようすと、7時10分にイオが木星面の西縁へと通過し切る前に東縁からエウロパが通過を始めるようすだ。

ガリレオ衛星の木星面通過
(左)木星面に重なるイオとカリスト(右)左下にエウロパも加わる。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))

今回のように3つのガリレオ衛星が同時に木星面を通過するのは、10年に1、2度ととても珍しい。この他にも、2015年は地球や太陽から見て木星の赤道面がほぼ真横に見えるため、衛星同士が隠し隠される相互現象が見られる、6年に一度のタイミングだ。「【特集】木星を見よう:ガリレオ衛星の相互現象を観測しよう」を参考にして、衛星と衛星が重なったり、衛星の影に他の衛星が入り込んだりするようすを天体望遠鏡で見てみよう。ガリレオは、衛星が木星の周りを回るようすから、地動説を確信するに至ったと言われている。そんなことを思い浮かべながら衛星の動きを追うといっそうおもしろい。

2月中に起こる主なガリレオ衛星の相互現象
2月中に起こる主なガリレオ衛星の相互現象。クリックで拡大(『アストロガイド 星空年鑑 2015』より)


ステラナビゲータで木星の衛星の動きをシミュレーション

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、木星の5つの衛星(ガリレオ衛星+アマルテア)の軌道や位置を表示できます。

ステラナビゲータで木星の衛星を表示