ハッブル宇宙望遠鏡版「メシエカタログ」

このエントリーをはてなブックマークに追加
「メシエカタログ」に登録されている110個の天体のうち、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影された63個の天体の画像が一覧公開された。リストは今後も更新されていく予定である。

【2017年10月26日 NASA

18世紀半ば、彗星捜索を行っていたフランスの天文学者シャルル・メシエが、彗星と紛らわしい天体を区別することをきっかけとして作成したリストが「メシエカタログ」である。このカタログには110個の天体が登録されており、大きな天体望遠鏡でなくても比較的簡単に観察できる明るい天体も多く含まれていることから、アマチュア天文ファンにも人気が高い。

このたび、今年9月までにハッブル宇宙望遠鏡(HST)によって撮影された「メシエカタログ」に登録されている93天体のうち、63天体の画像が一覧として公開された。これまで一般公開されたことがなかった8画像も含まれている。

リストの一部
リストの一部(提供:リリース元ページのヘッダー画像より)

全体像がとらえられている天体の画像もあるが、多くは天体の一部を詳細に観測したものだ。これは、HSTによる観測は世界中の研究者が望んでおり望遠鏡の使用は貴重なため、科学的に重要でないと思われるものには多くの観測時間が割かれていないという理由のほか、メシエ天体には明るい天体が多いので、地上にある望遠鏡でも同程度の精度で観測できることや、HSTは狭い視野を詳細に観測するように作られているといった理由もある。また、天体の化学組成や速度などを調べる目的で分光観測のみを行ったものもあり、その場合には天体画像としては載っていない。

M45
プレアデス星団(和名:すばる)としても知られる、メシエカタログの45番目の天体M45。全体像を撮影したのは地上の望遠鏡で、HSTは画像中の枠内の領域などを観測した(提供:NASA, ESA and AURA/Caltech)

M45の一部
HSTがとらえた、M45の一部。メローペ(上図の中央やや下の星)付近の観測(提供:NASA and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA); Acknowledgment: George Herbig and Theodore Simon (Institute for Astronomy, University of Hawaii))

今回公開された全ての画像はリリース元およびFlickrで見ることができる。HSTによるメシエカタログは今後も更新される予定だという。