「エクソマーズ」、TGOは無事火星周回軌道へ、着陸機は通信途絶か
【2016年10月20日 ヨーロッパ宇宙機関】
今年3月、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)とロシア・ロスコスモスによる火星探査ミッション「エクソマーズ2016」の周回探査機と着陸実証機が打ち上げられた。7か月にわたる旅を終えた周回機TGO(The Trace Gas Orbiter)は火星周回軌道へ入るため、10月19日(日本時間、以下同)に計139分のエンジン噴射を実施し、同機の速度を秒速1.5kmほどまで落として方向転換を行った。
火星に接近するTGOのイメージ図(提供:ESA/ATG medialab)
その後、TGOが無事に火星周回軌道に入ったことが確認された。TGOは火星上空から火星の大気を調べ、ESAの探査機として13年先輩の火星周回機「マーズエクスプレス」と共に火星の観測を行う。
一方、軌道投入の3日前にTGOから放出された着陸実証機「スキアパレッリ」との通信は途絶している。スキアパレッリはパラシュートや補助エンジンを使って減速し、着地の衝撃から本体を守るクラッシャブル・ストラクチャーに守られて火星表面に降り立っているはずだが、20日未明に送られてきた、同機が火星の上層大気に到着する75分前の信号が最後となっている。
スキアパレッリが無事に火星表面にたどり着いていれば、バッテリーで3日から10日ほど稼働できるので、その間に通信を確立できるかもしれない。スキアパレッリの主目的は技術実証だが、科学観測も行う予定となっている。
エクソマーズ2016に続いて2020年には、ロシアの着陸機とヨーロッパの探査車を火星へ送る、2度目のエクソマーズミッションが計画されている。このうち探査車では、深さ2mほどの穴をあけて新鮮な有機物質を探すことになっている。
〈参照〉
〈関連リンク〉
- ヨーロッパ宇宙機関: http://www.esa.int/ESA
- ロスコスモス: http://www.roscosmos.ru/
- アストロアーツ:
- 投稿画像ギャラリー: 2016年 火星
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
関連記事
- 2021/01/14 2021年1月21日 月と火星が接近
- 2021/01/14 2021年1月中旬 火星と天王星が大接近
- 2020/11/20 火星で大規模な砂嵐発生中
- 2020/11/10 44億年前の火星を温暖にした、水と巨大隕石衝突
- 2020/10/22 2020年10月29日 月と火星が接近
- 2020/10/16 公式ブログ:幻のアストロアーツ望遠鏡で火星観望!
- 2020/10/08 2020年10月15日 火星がうお座で衝
- 2020/10/05 火星南極の地下湖、再観測でも確認
- 2020/09/29 2020年10月6日 火星と地球が最接近
- 2020/09/25 2020年10月3日 月と火星が接近
- 2020/09/15 公式ブログ:星ナビ編集部からの挑戦!火星接近クイズ
- 2020/08/28 2020年9月6日 月と火星が接近
- 2020/08/06 日本惑星協会「火星観測週間2020」キャンペーン実施中、観測証を発行
- 2020/07/31 NASAの火星探査車「パーサビアランス」、打ち上げ成功
- 2020/07/31 2020年8月9日 月と火星が接近
- 2020/07/27 中国の火星探査機「天問1号」、打ち上げ成功
- 2020/07/20 H-IIAロケット打ち上げ成功、火星探査機HOPE搭載
- 2020/07/17 2020年7月下旬 明け方の空に全惑星が見える
- 2020/07/03 2020年7月12日 月と火星が接近
- 2020/06/22 火星の風が引き起こす微弱な振動