ファルコン9ロケット、打ち上げ後に洋上船への着陸に成功

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スペースX社のファルコン9ロケットの第一段が、打ち上げ後の洋上船への着陸に初めて成功した。ロケットの再利用に向け、非常に大きな成果だ。

【2016年4月13日 Phys.Org

ファルコン9(Falcon 9)は、米・スペースX社によって開発された2段式ロケットで、人工衛星や、同社の国際宇宙ステーション(ISS)補給船「ドラゴン」の打ち上げに利用されている。同ロケットにより、2012年に民間企業として初めてドラゴン補給船を宇宙へ送り届けたほか、これまでに20回以上の打ち上げが行われてきた。

さらに、打ち上げ後にファルコン9の第一段部分を帰還させ、再利用するための実験も進められている。昨年12月には地上への軟着陸に成功したものの、洋上に浮かぶ無人船への着陸は、残念ながら4回の失敗を繰り返してきた。

今月8日、ついに待ちわびた時が訪れた。フロリダ州ケネディ宇宙センターからドラゴン補給船8号機を打ち上げたファルコン9の第一段が、打ち上げから約8分半後、大西洋沖の無人船上へ垂直に降り立つことに見事成功したのだ。洋上へのロケット帰還成功は、もちろん世界初の快挙である。

ファルコン9の打ち上げと第一段の帰還。打ち上げは19分ごろ、帰還は27分30秒ごろ(提供:SpaceX)

同ロケットはすでに回収され機体のチェックが進められている。スペースX社では10回のエンジン噴射試験を行い、問題がないようであれば今年6月初めに計画されている別のミッションで再利用する予定としている。

今回の打ち上げは、昨年6月にドラゴン宇宙船7号機の打ち上げに失敗した(それ以降の人工衛星の打ち上げは成功している)スペースX社にとって、10か月ぶりとなるISS輸送ミッションの再開でもある。ファルコン9が軌道上に送り込んだドラゴン8は今月10日に無事ISSに到着、結合しており、その点でも喜ばしい成功となった。

ファルコン9が目指すゴールは、人を宇宙へ届けることだ。スペースX社の創設者で最高経営責任者であるElon Muskさんは「再利用は、ロケットの打ち上げコストダウンのためにはもちろんのこと、宇宙へのアクセスには必須です」と話している。彼の夢は、火星上に都市を作り上げることだという。