彗星の群れが原因か、ケプラーがとらえた恒星の謎のふるまい

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系外惑星探査衛星「ケプラー」による4年間のモニター観測で、KIC 8462852という恒星の光が劇的に暗くなるという風変わりな現象がとらえられた。これまで見られたことがない謎のふるまいで、追加の赤外線観測によると彗星が関係しているかもしれないという。

【2015年11月25日 NASA

NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」による観測で2011年と2013年、地球から約1500光年離れたはくちょう座方向の恒星「KIC 8462852」が暗くなるようすがとらえられた。研究者はその理由について、おそらく一群の彗星の存在で説明がつくのではないか、または惑星か小惑星の破片が関係しているのではないかと考えた。

粉々になった彗星によって光がさえぎられるKIC 8462852の想像図
粉々になった彗星によって光がさえぎられるKIC 8462852の想像図(提供:NASA/JPL-Caltech)

どちらの説が確からしいかを調べるため、赤外線宇宙望遠鏡「スピッツァー」による観測が行われた。赤外線観測は、恒星についてより多くのことを知る一つの方法として利用される。もしKIC 8462852に見られる謎の現象が惑星か小惑星によるものだとすると、互いの衝突で塵のように粉々になった岩石は赤外線で輝くと予測され、星の周囲で赤外線が過剰になるはずだ。

今年行われた観測の結果、KIC 8462852の周囲に赤外線超過は見られなかった。2010年にも天文衛星「WISE」を使って赤外線の検出が試みられていたが何も見つかっておらず、スピッツァーでも同じ結果になったわけだ。

この結果が示唆するのは、惑星や小惑星といった岩石質天体の崩壊説は正しくなさそうだということ、かわりに冷たい彗星が関与していると考えるのがふさわしそうだということだ。減光の原因として、次のような現象が考えられている。

KIC 8462852の周りを、非常に長い楕円軌道を持つ一群の彗星が公転している。その先頭にとても大きな彗星が存在しており、それが2011年に恒星の光をさえぎったのかもしれないという。その後の2013年に、様々な大きさの破片を含む帯状となった残りの彗星の群れが遅れて恒星に到着し、光が再びさえぎられることになった。スピッツァーが観測した今年には彗星が遠ざかってしまっており、検出できるほどの赤外線は残っていないのだろう。

「KIC 8462852の周りで何が起こっているのか、私たちにはまだわかりませんが、興味をそそられる対象です。謎の解明には、もっと多くの観測が必要でしょう」(アイオワ州立大学 Massimo Marengoさん)。

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