アンドロメダ銀河の周囲に広がる巨大ハロー

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ハッブル宇宙望遠鏡による観測から、アンドロメダ座大銀河の周囲に広がるハローが従来の測定よりもはるかに大きいことが明らかになった。ハローは銀河から100万光年も広がっており、もし目で見ることができれば差し渡し満月100個分にも達するという。

【2015年5月11日 HubbleSite

アンドロメダ座大銀河M31は、私たちのいる天の川銀河から250万光年離れたところに位置する「お隣」の銀河だ。空の条件が良ければ肉眼でも見え、写真では美しい渦巻き模様をとらえることができる。

アンドロメダ座大銀河の円盤部分の直径は約20万光年で、地球から見ると満月6個分ほどの大きさに見える。さらに、高温で希薄なガスでできた「ハロー」と呼ばれる構造が、銀河全体を球状に取り囲んでいる。ハッブル宇宙望遠鏡による観測データの解析から、このハローは従来の測定よりも6倍も大きく1000倍も重いことがわかった。銀河から100万光年(直径200万光年)も広がっており、肉眼で見ることができれば、直径が満月100個分にも及ぶという巨大さである。

ハローの大きさの見積もり
ハローの大きさの見積もり方を示したイラスト。ハローを通過したクエーサーの光は一部暗くなる。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, A. Feild (STScI), N. Lehner and J.C. Howk (University of Notre Dame), and B. Wakker (University of Wisconsin, Madison))

研究の鍵となったのは、地球から見てアンドロメダ座大銀河の向こうに位置しているクエーサーだ。はるか遠くに位置するクエーサーからの光が銀河のハロー部分を通過すると、ハロー中のガスが光を吸収し、紫外線の一部が少し暗くなる。銀河の周囲に見える18個のクエーサーからの光を調べた結果、ハローの巨大さが明らかになったのだ。

このハローは、銀河中のあちこちで起こった超新星爆発によって吹き飛ばされたガスで作られたと考えられている。もし天の川銀河にも同程度の大きさのハローがあるとすれば、互いの銀河のハロー同士が混じりつつある可能性も考えられる。両銀河は40億年後に衝突して1つの巨大な楕円銀河になるとみられているが、ハローはすでにぶつかり始めているのかもしれない。

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