珍しい発見、孤立した矮小楕円銀河

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私たちの天の川銀河が属する局部銀河群の中に、古い星から成る小さな銀河が新たに見つかった。「矮小楕円銀河」としては珍しく独立した存在で、多くの未知の銀河が存在する可能性をかいま見せている。

【2014年12月22日 Royal Astronomical Society

私たちの太陽系がある天の川銀河は、アンドロメダ座大銀河(M31)ほか大小50以上の銀河が集まる「局部銀河群」に属している。Igor Karachentsevさん(特別宇宙物理学天文台)ら米ロ研究チームが、この局部銀河群に属する銀河をハッブル望遠鏡で新たに発見した。

矮小楕円銀河KKs 3
ハッブル宇宙望遠鏡でとらえた矮小楕円銀河KKs 3のネガ画像。画像上部で並んで見える2つの天体のうち右側が銀河中心部(左側は手前に位置する無関係の星団)で、その周囲に星々が広がる(提供:D. Makarov)

この銀河「Kks 3」は南天のみずへび座の方向700万光年彼方にあり、その質量は天の川銀河の1万分の1ほどという矮小楕円銀河だ。

「矮小楕円銀河」は、ガスや塵などの材料がないため新たな星が生まれることはなく、暗く年老いた星ばかりが集まっている銀河だ。そのほとんどは小さな銀河からガスと塵を奪ってしまうような大きな銀河のそばにあるが、このKks 3は珍しく孤立した存在で、局部銀河群内では「KKR 25」(1999年に同グループが発見)に続いてたったの2例目となる。これら少数派の銀河は、爆発的に星を生み出し早々に材料を使い果たしてしまったと考えられている。

「ハッブルをもってしてもKks 3のような天体を見つけ出すのは骨が折れます。でも辛抱強く見つけていくことで少しずつ天の川銀河の周辺のようすが明らかになり、意外にも多くの天体が存在することがわかってきています。まだ見つかっていない矮小楕円銀河がうじゃうじゃ存在しているかもしれませんし、もしそうなれば宇宙の進化についての従来の理解を大きく変える可能性もあります」(研究メンバーのDimitry Makarovさん)。

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