アンドロメダ銀河のダークマター、理論予測と異なる分布

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アンドロメダ座大銀河(M31)の姿を再現したシミュレーション研究から、銀河の周囲のダークマター分布が天体形成に関する標準理論に基づく予測と異なることが明らかになった。これまで広く受け入れられてきた理論の見直しを迫るとともに、ダークマターの性質を知る手がかりとして期待される。

【2014年12月11日 筑波大学計算科学研究センターすばる望遠鏡

すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCがとらえたM31
すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCがとらえたM31。写真家の上坂浩光さんによる画像処理の過程を、星ナビ2015年1月号で紹介している。画像クリックでリリース元へ、さらにフルサイズ画像を見ることができる(提供:上坂浩光/HSC Project/国立天文台)

私たちから最も近くに位置する大規模銀河であるアンドロメダ座大銀河(M31)は、およそ8億年前にその400分の1程度の質量の銀河と衝突したとみられており、銀河中心から約40万光年にわたって伸びた数億個以上の星の連なりが衝突の痕跡として観測されている。

筑波大学の研究チームは筑波大学計算科学研究センターのスーパーコンピュータを用いてこの衝突を再現し、どのような条件において現在観測されているような姿になるかを検証した。銀河同士の衝突では、銀河内の星やガスなどの物質に加えて、未知の重力源であるダークマター(暗黒物質)による重力的な影響がカギとなる。それらを忠実に考慮したシミュレーションの結果、M31におけるダークマターの分布は、現在広く受け入れられている天体形成理論に基づいたものと大きく異なることがわかった。

M31のダークマターの密度分布
M31のダークマター分布。観測される構造を再現するようなダークマターの密度分布は、銀河の外側では理論モデルの予測と大きく異なる(提供:Kirihara et al.)

今回の成果は「小さい天体が互いの重力で集まり徐々に大きく成長していく」という従来の標準的な天体形成理論に見直しを迫る可能性がある。また、正体不明のダークマターの性質を探る手がかりを与えてくれるかもしれない。今後、他の銀河でも同様の観測とシミュレーションを行うことで、新たな進展が期待される。

銀河衝突シミュレーション
銀河衝突シミュレーション(提供:Kirihara et al.)