Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

星ナビ2019年5月号掲載
わかったこととわからないことがわかる本

「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへのタッチダウンに成功し、この春には人工クレーター実験も行いサンプルを採取する。このプロジェクトにより、生命誕生の謎が解かれる日も近いかもしれない。「わからないこと(謎)をわかるようにする」ことは、人類が昔から行ってきたことで“人間らしさ”のひとつといえるだろう。今月は、そんな「わかる」をキーワードにした書籍を集めた。

まずは、ズバリ『絵でわかる宇宙の誕生』 『絵でわかる宇宙地球科学』 。どちらもタイトル通り、カラー図版を多く掲載して初心者でもわかりやすいように説いた「絵でわかる」シリーズ。『宇宙の誕生』は第吃瑤如嵋陳ケ宙像の確立」、第局瑤如岷宙の誕生と進化」、第敬瑤如岷宙の未来と多宇宙」について解説。第局瑤搬茘敬瑤郎8紊気蕕某焚宗深化し発展するだろうと、著者の福江純氏が述べている。一方、『宇宙地球科学』は太陽・惑星・地球について解説。著者の寺田健太郎氏は、宇宙地球化学の専門家で、「はやぶさ」試料などの同位体分析も行っている。書籍では「地球はありふれた星なのか」という観点から、宇宙の物質進化の必然性や偶然性に焦点を当てている。ときには、まだ定説になっていないNature誌やScience誌の最新の知見も登場する。さらに深く知りたい人は、巻末の原著論文リストを参考に「わかる」までじっくり調べることができる。

天文学ではひとつの謎が解けると、さらに新しい謎がうまれる。宇宙物理学と観測装置開発を専門とする小谷太郎氏が著した『宇宙はどこまでわかっているのか』 では、まさに「わかった最新情報」と「それによってうまれた最新の謎」を紹介。第1章の惑星探査、第2章の宇宙の姿、第3章の重力波検出が、ニュース記事のように日にちを明記して端的に書かれているから読みやすい。第4章で紹介されるX線天文衛星「ひとみ」の不運は、その分野の専門家である著者の無念な気持ちが伝わってくる。そして、最後の第5章で「科学はどこまでわかっているのか」をまとめている。

以降は、副題に「わかる」が入っている書籍を紹介するので、普段はここに書かない副題も含めて掲載する。『文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る』 は、経済など日常生活にひそむ科学的な疑問から、素粒子や相対性理論など専門的な問題まで、多岐にわたる51の疑問に答える本。あらためて「日常生活は科学で成り立っている」と感心する。

ちょっと変わった切り口で、映画を科学的に教えてくれるのが『すごく科学的 SF映画で最新科学がわかる本』 。「オデッセイ」「ジュラシック・パーク」「インターステラー」などの作品が、専門知識によってしっかり検証されていることを語った本。イギリスのテレビ番組の司会者と科学ジャーナリストが対話する書き方もユニークで、SF映画好きならきっと興味深く読める。

『キャラクターでよくわかる 宇宙の歴史と宇宙観測』 は、素粒子実験を専門にする秋本祐希氏が文も絵も書いた(描いた)一冊。著者はこれまで、多くの人に素粒子を好きになってもらいたいと、イラストや漫画で素粒子物理学を解説するwebサイトを制作・運営してきた。同書では「すばる望遠鏡くん」と「スーパーカミオカンデちゃん」が、素粒子や世界の望遠鏡について教えてくれる。

天文学はまさに日進月歩、同時に新たな謎がうまれる。だから、これからも「わかったことをわかりやすく」伝える本が出版され、私たちは常に新しい発見と謎を知るのだろう。

(紹介:原智子)