月刊ほんナビ 2026年4月号
📕 「「宇宙を学ぶ」ということ」
紹介:原智子(星ナビ2026年4月号掲載)
先日、まもなく「三鷹の森」を去る渡部潤一先生が自身の研究人生について語った講演を拝聴した。専門である彗星や流星の研究成果を発表しつつ、共同研究者とのエピソードも披露。渡部先生らしい、ユーモアあふれる充実した講演だった。天文に限らずどんな学問でも、研究者は「謎に向き合う」うちに「自分自身にも向き合う」のだと思う。そんな“天文学と向き合う姿勢”を感じさせてくれる本を紹介していこう。
『宇宙する人生』は、2024年3月に東京大学を定年退官した須藤靖氏が行った、同名の最終講義をもとに書き下ろした読み物。宇宙論・太陽系外惑星の専門家として歩んだ著者が、自身の経験のみならず日本の社会・教育・文化などの変遷について、宇宙物理学者の視点から語る。海外での体験や研究現場での試行錯誤、これからの教育のあり方など話題は多岐にわたる。率直な言葉がつづられた内容は、これから科学者を目指す若者や、現役で働く社会人、さらには第二の人生を歩む世代など、それぞれの立場でさまざまな感想を持ちそうだ。
天文学の古典の中でひときわ古く、後世に大きな影響を与えた『アルマゲスト』。アレクサンドリアの学者プトレマイオスが著したこの書物に、現在の我々がどうアプローチして読み解くか教えてくれるのが『『アルマゲスト』を読んでみよう』だ。かつて邦訳を手がけた藪内清氏は、「2世紀頃の限られた数学的知識を最大限に活用することから起こる、まわりくどい記述にはいささか閉口する」と述べたことがある。本書では、当時はまだなかった三角関数の基礎を用いて理論を再構成し、地球中心説の実像とコペルニクスやケプラーが克服すべきだった課題を明らかにする。科学の積み重ねを実感できる一冊。
プラトンもカントも、哲学の原点は宇宙への問いにあったという。『時空の哲学と現代宇宙論』は、宇宙の起源に関する問いに対し、時空の哲学を手がかりに答えを探る書籍。通常は多くの数式で表される物理学的宇宙像を、この本では哲学的な枠組みで言語化し、統一的に把握する。現代宇宙論の知見を踏まえつつ、時間や空間とは何かに迫っていく。科学と思想の交差点に立つ気鋭の研究者による力作。
『大学地球科学の教科書』は、アメリカの名門大学で使われている優れたテキスト 『Understanding Earth』 を翻訳し、全4巻にまとめたうちの2冊(上・下)。今回の2冊では、地球の内部構造について図解を交えてわかりやすく解説する。地球科学を基礎から学びたい人に最適な入門書。
近年、飛躍的に研究が進んだテーマのひとつにブラックホールがある。『一番わかりやすいブラックホールの本』では、世界的な話題となった国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」など最新の観測成果を交えて、研究の最前線をわかりやすく紹介する。天文ファンはもちろん、理系文系を問わずブラックホールに興味のある読者への“最初の一冊”としてぴったり。
最後は、日本トップの研究者たちが集結しまとめあげた専門書『系外惑星の物理』。「星形成」「惑星形成」「系外惑星の多様性と起源」について、その根源的なメカニズムを詳しく掘り下げて解説していく。2023年に京都で開催された同分野の最重要国際会議「Protostars and Planets VII」の最新研究動向も盛り込まれている。
冒頭でふれた渡部潤一先生の話のキーワードは「研究はドラマだ!」。ドラマチックな出会いが研究を進めさせ、天体の未知の振る舞いがドラマチックな展開を生んだ。宇宙という舞台で起こるドラマは、太古から人々を魅了し、問いを投げ続けてきたのだ。
















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