Location:

Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

中国の宇宙開発 中国は米国やロシアにどの程度近づいたか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Amazonで買う
中国の宇宙開発 中国は米国やロシアにどの程度近づいたか
 

  • 林幸秀 著
  • アドスリー
  • 18.9×12.9cm、215ページ
  • ISBN 978-4904419823
  • 価格 1296円

中国の宇宙開発を調べたくても、これまではなかなかできなかった。月に探査機が飛んで、その一部情報が漏れ伝えられてくるだけ。全くの月の雫(しずく)に過ぎなかった。だが、さすがは国立研究法人科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェローの著者だけあって、本書に示された情報は多量で詳細である。恥ずかしながら、衛星バスという用語は評者は初対面。不勉強でした。読者の皆さんはご存じでしたか? アメリカ・ヨーロッパ・ロシアではごく当たり前で、日本でも中国でも利用されているという。詳細は、第2章でどうぞ。その他、本書にはベールに閉ざされていた新知見が満載だ。

特に評者にとって最大の新知識は、古代中国の天文学者に関するもの。第9章2中国の天文学、宇宙探査の歴史にある。名前だけは知っていたが、詳細は本書で初対面。西暦1世紀の後漢の学者張衡と13世紀の元の学者郭守敬である。張衡と郭守敬については、評者のパソコンのワードで、一発で変換ができるほど馴染みはあったが、本書のおかげで評者編纂の雑学天文台百科「中国の天文学史編」に大幅加筆となった。当時の常識に反対して月が球形であると主張したことや月の輝きが太陽光の反射であること(ちゃんと説明できます?)を解明した、あるいは地震計を世界で初めて製作した張衡の話や、渋川春海が参考にした授時暦作成者郭守敬の話など、是非お読みください。面白いですよ!

この本を購入する Amazonで買う