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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

宇宙マンダラ
天文学者の人類未来への提言

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宇宙マンダラ 天文学者の人類未来への提言
 

  • 海野和三郎 著
  • ビイング・ネット・プレス 刊
  • 11.5×19.5cm、190ページ
  • 2014年10月
  • ISBN 978-4904117996

曼荼羅で「平成の3如来」という方々も登場するから仏教書、ではない。れっきとした科学書、科学哲学書である。中味は、将来世代のエネルギー展望とかエコエティカ太陽エネルギー工学、宇宙哲学、地球温暖化防止、教育、宇宙性などなど。よく判らない方々は是非本書を熟読玩味していただきたい。ともかく21世紀に生きる先達天文学者が語る宇宙の本である。

著者は、東京大学などで多数の有名天文学者(特に理論系)を育て上げた、海野スクールの校長先生で、知る人ぞ知る大天文学者である。東京大学名誉教授で現在東京自由大学学長。日本における理論天体物理学の先導者で、量子力学を天文学に導入した方である。言ってみれば、本書はその哲学を余すところなく述べ、さらに先生のこれまでの生き方を示した本。故に決して易しい内容の本ではないが、読後大変に充実感が味わえた本だった。特に、「○○がよくわかる本」とか「●●入門」というタイトルの本ばかりを読んでいてはとても味わうことができない読後感が残る本である。

筆者は海野スクールに入学が許されなかった(学力段階で)者なので、地球温暖化「非二酸化炭素説」などで先生と多少意見を異にしても直接先生と議論することはできないが、筆者の能力の範囲内でじゅうぶんに消化することができたほど説得力がある本である。