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「はやぶさ2」が拓く 人類が宇宙資源を活用する日

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「はやぶさ2」が拓く 人類が宇宙資源を活用する日

  • 川口淳一郎 著
  • ビジネス社
  • 224ページ
  • 定価 1650円

「はやぶさ2」の試料の劇的な持ち帰りに際して、本書と同様テーマの本が多数出版された。ブームと言って良い。確かに学術的にも重要な探査だったが、特に日本人にとって初代「はやぶさ」のドラマチックな帰還に次ぐ劇的なものだったことが、何よりも感情に響くものだったのだろう。

そんな折、アドバイザーとして、またJAXAシニアフェローとして名が知れた川口先生の著した本書は、理科系・技術系の先生の知識と経験が溢れる物になった。だから、評者にはピーンと来たのである。もちろん、リュウグウ探査の意味合いを避けて通ることはできないが、本書第3章の技術イノベーションの秘話は、川口先生だからこそ語れるモノ。文学的ではなく、長年技術者として生きてこられた先生の語り口と視点が如実に表れており、同じ理科系出身者として評者には大変読みやすかった。簡単に申し上げれば実録書。

タイトルからも判るとおり、要するに単なる文学書では味わえないこれからの宇宙開発の要点が、端的に理解できる本で、第4章に始まり、第7章で終わるこれからの宇宙開発が圧巻の内容である。日本だけではなく米中や、最近はアラブ首長国連邦なども加わり、宇宙開発は激化する一方だが、特に日本は軍事的な目的ではなく、宇宙科学に寄与する国として、その役割に期待したいことが、本書を読んで確信に変わった。

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