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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

火星ガイドブック

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火星ガイドブック
 

  • 鳫宏道 著
  • 恒星社厚生閣
  • 21×15.1cm、160ページ
  • ISBN 978-4769916192
  • 価格 2808円

書店での発見が遅れ、前回の本書評に間に合わず、ご紹介が遅れてしまったことをヒラにお許しを! 15年ぶりの火星大接近にも後れてしまった。だが、本書は歴史的名著なので、次回2035年までに何度も繰り返しお読みください。あいにく我がカルチャーセンターの受講生の方々も、60代以上の人が大多数のため、望遠鏡でご覧になった方は僅少だったが、ここは本書を熟読した若い皆さんに大いに期待したい。

特に、著者は知る人ぞ知る理科系の人(評者は五島の解説員時代に平塚市博物館でお会いした)なので、例の火星運河の発見譚や火星年代学、火星隕石、生命環境としての今後の火星探査、今回も出現したダストストーム(昔は大黄雲と呼び、評者も宮本正太郎先生にお世話になりました)など、新しい知見を交え、凄く勉強になりますよ!

圧巻は第5章「新しい火星像」。掲載された最新火星地図をまさに食い入るように見つめ、なるほどと思いながら、一字一句説明を読み続けた。タルシス、エリシウム、マリネリス峡谷、そして流出チャネルの形成史などは、火星探索者でなくともワクワクするはずだ。

評者は老齢化のため、10cm屈折望遠鏡を外に持ち出すことが大幅に減少したので、本書の美しい画像を堪能し続けることとなったが、もう少し若かったら間違いなく大接近中の火星を実眼で眺め尽くしたはずだ。歴史的名著として、あなたの本棚にぜひ本書を。

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