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星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー

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言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー
 

  • 小谷太郎 著
  • 幻冬舎
  • 17.3×10.9cm、278ページ
  • ISBN 978-4344984851
  • 価格 907円

最近トミにトシになったせいか、書店の書棚で「行ってはいけない宇宙論」と読み間違って頭をかしげてしまった。天文学科志望の学生さんは可哀想とまで思ってしまった。だってそうでしょう、50年前の学生は、夜の観測を控えて風呂屋に行っておくのが当たり前だったから。だが冗談ばかり言っていてはいけない。現代物理学に7個のタブーがあって、それを詳細に述べた本が本書。

あらかじめ申し上げておくが、決して易しい内容ではない。タブー1〜7まで項目をご紹介するのも難儀なほど。だって、現代天体物理でタブー(触れてはならない)とされている難しいことなのだから。50年前(正確には54年前)の学生時代、訳がわからない哲学なんて勉強しなくて良かった! と評者は喜んでいたが、この年になり本書を読んで、おぉ、天文学は宇宙哲学なのかと悔やんだ次第。

主題の一つのブラックホールは目には見えず、仕方ないのでそばに行って手を突っ込もうとしたらアウトという世界。それは行ってはいけない、もとい言ってはいけないですね。マルチワールド・ダークエネルギー・量子重力など、興味が溢れて評者の頭からは噴出してしまうが、若い皆さんならばおそらく呑み込むことは容易に違いない。挿絵にイラストレーター名がないので、著者自筆のものなのだろう。筆者の優しい感性が伺われる。

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