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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

無限のかがく 限りが無く、決して到達できないもの

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無限のかがく 限りが無く、決して到達できないもの
 

  • ニュートンプレス
  • 23.9×18.2cm、64ページ
  • ISBN 978-4315521405
  • 価格 734円

「ℵ」、これなんて読みます? 「アレフ」で、ヘブライ文字の筆頭文字が正解です。では何に使われるのでしょうか。答は本書22頁に書かれており、ドイツの数学者カントールが決めた{無理数の濃度}を意味するそうです。つまり、カントールは、無限には濃度に違いがあることを発見しました。まぁそれはともかく、無限という言葉を皆さんは気軽にお使いになっているでしょう。中でも、宇宙は無限に広いとか、時間は無限だとか、デジタル写真の解像度は無限にはできないとか、光速は無限ではないとか、ブラックホールの中心密度は無限大であるとか、円周率は無限の桁数を持つとか…。

本書によれば2019年現在、円周率は22兆4591億5771万8361桁まで求められており、そのうち10万桁まで暗唱できる人がいるそうですが、たとえば銀河系の円周を計算する場合、10万桁までは必要なく、たったの23桁で良いそうです。ですが、この無限(小)という考え方が、アルキメデスが正96角形の周の集合を計算して円周率を3.14と決め、ケプラーが無限に細い三角形の計算から火星軌道の面積を考え、ケプラーの第二法則すなわち面積速度一定の法則を案出したことは有名な話ですね。このように、天文学は無限という概念から絶対に離れられないことが判ります。マルチバースは凄いですよ、宇宙が10500個もあるのですから。ぜひお読みください。

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