へび座のLDN 483 暗黒星雲から始まる星の輝き

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チリ・ラシーヤ天文台のMPG/ESO 2.2m望遠鏡が、へび座方向の暗黒星雲「LDN 483」をとらえた。星雲の内部では、数多くの星の胎児たちが輝きを放つ時を待っている。

【2015年1月14日 ESO

暗黒星雲「LDN 483」
チリ・ラシーヤ天文台のMPG/ESO 2.2m望遠鏡でとらえた暗黒星雲「LDN 483」(提供:ESO)

へび座の方向700光年彼方にある「LDN(Lynds Dark Nebula)483」は、塵が背景の星の光を遮っているために暗く見える暗黒星雲だ。一見そこには何もないかのように見えるが、星々の胎児のような天体がこの星雲の内部で見つかっている。いわばお母さんのお腹の中にいる、生まれる前の姿だ。

星はまず、分子ガスの雲の中でガスと塵が重力で集まって種ができる。このころはまだ、摂氏マイナス250度ほどの低温で、電波の一種であるサブミリ波しか放射しない。この第一段階をわずか数千年で過ぎたあと、次は数百万年かけてさらに凝縮し、高温となった原始星として成長していく。放射するエネルギーも赤外線から可視光線へと変わり、光る星となって輝きはじめる。

星々は暗黒星雲から1個、また1個と顔を出し、やがて星雲はじょじょに晴れていくだろう。透けて見えだした背景の星は間もなく、星雲から新たに登場した若い星々のまばゆい輝きにかき消されていく。こうした若い星の集団が散開星団と呼ばれる天体で、おうし座のプレアデス星団(M45、すばる)などがその代表例だ。