3日(日)まで開催中!CP+の天文ファン的注目ポイント

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パシフィコ横浜で3月3日(日)まで開催中のCP+は、写真・映像関連の新製品や技術を紹介する「総合的カメラ映像ショー」。カメラメーカーだけでなく望遠鏡・双眼鏡メーカーも参加していて、各ブースで天文関連の講演会も開かれている。

【2019年3月1日 星ナビ編集部

毎年春に開催される日本最大の写真・映像関連の展示会「CP+(シーピープラス)」は、カメラメーカー、写真用品・映像関連メーカーのみならず望遠鏡・双眼鏡メーカーも一堂に会する、写真好き・光学好きの天文ファンには必見のイベントだ。今年は2月28日(木)から3月3日(日)まで、例年と同じパシフィコ横浜で開催されている。

会場
初日はあいにくの小雨模様だった。会場の「パシフィコ横浜」は東急東横線直通の横浜市営地下鉄「みなとみらい」駅下車徒歩5分。渋谷からは約35分(撮影:星ナビ編集部。以下同)

今回のCP+は、ニコン、キヤノンが相次いでフルサイズミラーレスに参入して初の開催となったが、LUMIX(パナソニック)からもフルサイズミラーレスのSシリーズ(DC-SR/DC-S1)が発売される。4K/60pに対応する動画出力が注目。富士フイルムからは44×33mm裏面照射型CMOSセンサー(1億200万画素)搭載の中判ミラーレスカメラが参考出品されていた。スマホカメラの高性能化をうけて、カメラメーカー各社が「ミラーレス化」「大判化」を推進している印象だ。

さて、デジカメのトレンドに関しては写真関連サイトから速報が出ているので、ここでは天体機材関連に絞ってレポートしよう。


まずは今年創業70周年を迎えるビクセンから。同社ブースで天文ファン・星景写真ファンから注目されていたのは「ポラリエ・U」。「星空雲台」と称し、それまでのポータブル赤道儀のイメージを一新した「ポラリエ」が発売されたのは2011年11月。以降のコンパクト赤道儀の先駆けとなった機種だが、発売から7年以上が経過した今、「U」の開発が発表された。現行の「ポラリエ」の後継機種となるのか、併売されるかも含めて、現時点では「検討中」とのことだ。

ビクセン レッドカラーR200SS ビクセン_ポラリエU
創業70年記念の「ビクセン レッドカラーR200SS鏡筒(参考出品)」と同社の新妻社長。架台はSXP2。新型星空雲台「ポラリエ・U(開発中)」を手にしているのは同社開発部の加島さん。画像クリックで表示拡大

次はケンコー・トキナーのブース。ケンコーと言えばフィルターということで、天体・星景写真ファン注目の2種のフィルターをピックアップしよう。一つめは「ハーフプロソフトン」を横幅130mmにした大判バージョン。地上景色はシャープなまま星空だけを滲ませることができることで星景写真ファンに人気だが、従来の横幅100mmのフィルターでは超広角レンズでホルダーのケラレが発生したり、前玉が大きく凸状に飛び出している明るい超広角ズームレンズなどに対応できなかったが、横幅130mm用フィルターホルダーを介して取り付けられるようになる。もう一つは、水銀灯やナトリウムランプの輝線波長をカットして光害を軽減する星景・夜景撮影用フィルター「スターリーナイト」。近年はLED照明など、光害の元になる光源の種類が増えているので効果は限定的だが、光害による色カブリを低減して星空の色補正が容易になる。

ケンコー ハーフプロソフトン(A) ケンコー スターリーナイト
「ハーフプロソフトン(A)130mm×170mm(6月発売予定/希望小売価格42,800円)」は、CokinのXLサイズ(横130mm)のフィルターホルダーを用いる。光害を低減する「スターリーナイト(4月発売予定/希望小売価格5,000円・52mm径)」フィルターは、丸型で各フィルター径に対応している。画像クリックで表示拡大

サイトロンジャパンのブースでは、シュミットカセグレンの主焦点位置に補正レンズを配してハイスピードアストロカメラにした「RASA」の口径20cm(8インチ)モデルと、口径34cm(14インチ)モデルが展示されていた。価格未定だが、20cmは「25万円前後」とかなり求めやすい価格になるという。参考出品のSky-Watcher Solar Quest(スカイウォッチャーソーラークエスト)は、NDフィルター内蔵の屈折経緯台だが、電子的ファインダーを使って、自動で太陽を安全に視野内に導入できるようになっている。

ボーグ(トミーテック)では、新製品の72FL対物レンズにヘリコイドユニットなどを組み合わせた望遠レンズセットや「107FLカーボン鏡筒」と「EDレデューサー0.7×DCQC」などが発表されていた。野鳥や鉄道、飛行機、風景分野で求めやすい価格の望遠レンズとして活用されているボーグシステムだが、今年のCP+では、壁面いっぱいに巨大な月面パネルが飾られ、「天体回帰」を印象づけていた。同社の石塚さんによると「これからも、天文ファンに注目される鏡筒のラインナップを充実させていきたい」とのことだ。

Sky-Watcher ソーラークエスト ボーグ 107FLカーボン鏡筒
スカイウォッチャーの太陽専用望遠鏡「ソーラークエスト(参考出品)」/ボーグのブースで、巨大な月面パネルの前に立つ石塚さん。画像クリックで表示拡大


各メーカーの新製品や参考出品だけでなく、講演会やセミナーにも注目したい。3月2日(土)/3日(日)に開催される天文関連・星景写真関連の講演会やセミナーを抜き出してみた。「星ナビ」でおなじみの沼澤茂美、飯島 裕、中西昭雄、北山輝泰の各氏をはじめ、アストロアーツ上山治貴の講演も予定されている。スケジュールをチェックして会場を巡る計画を立てよう。

■ CP+2019ビクセンセミナー
  • 3月2日(土)・3日(日)の講演スケジュール
    • 「星撮旅にAP赤道儀を選ぶ理由」(千手正教)
    • 「星空撮影の世界~カメラ用レンズと天体望遠鏡を使い分けて撮影しよう」(成澤広幸)
    • 「星雲・星団写真を撮ってみよう」(中西昭雄)
    • 「美しい星空での記念写真/美しい星空を写すには/星景写真を写してみよう」(大西浩次)
    • 「ガイドしちゃあかん、簡単デジタル一眼星雲星団撮影術」(上山治貴)
    • 「SXシリーズ最高峰 SXP2赤道儀を語る/新型ポラリエの開発に迫る」(加島信次)
    • 「星空・星景撮影に双眼鏡を」(飯島 裕)
■ SONYスペシャルセミナー
  • 3月2日(土)11:45~
    「αとG Masterが拓く魅惑の星空風景」(沼澤茂美)
■ PENTAXセミナーステージプログラム
  • 3月2日(土)15:00~
    「遥かなる縦走路と星空たち HD DA★11-18mmとともに」(村田一朗)
■ タムロンステージ
  • 3月3日(日)10:40~
    「神レンズ SP15-30mmG2で描く星景写真」(北山輝泰)
■ SIGHTRONセミナー
  • 3月3日(日)13:00~、14:00~
    「都会で散光星雲が撮れる!サイトロン Quad BPフィルター製品紹介と実写作例の紹介」(根本泰人)

講演会 北山さん
ビクセンのブースでは、天体望遠鏡・天体写真・星景写真など、さまざまな講演が用意され多くの人が熱心に聞き入っていた。ビクセンのブースで講演する北山輝泰さん。画像クリックで表示拡大


4月5日発売の「星ナビ」5月号にて「CP+天文関連レポート」を掲載予定。ツイッターの@hoshinaviでも関連情報を発信しています。
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