さらに増光するいて座の新星 V5558 Sgr

【2007年7月13日 アストロアーツ】

今年の4月にいて座で見つかった新星が、3か月たった現在も増光を続けていて注目されている。現在、いて座の方向は宵のうちから空に昇っていることもあり、とても観測しやすい。この新星について、滋賀県ダイニックアストロパーク天究館の高橋進さんから解説をお寄せいただいた。


(V5558 SgrとV723 Casの光度曲線)

V5558 SgrとV723 Casの光度曲線。クリックで拡大(提供:高橋進氏)

茨城県水戸市の櫻井幸夫さんが4月に発見されたいて座の新星(V5558 Sgr)が6等台半ばにまで明るくなっています。発見から3か月以上たってまだ増光する新星は珍しく、観測しやすい時期でもあり注目されています。

V5558 Sgrは櫻井さんが4月15日早朝にいて座に発見した新星で、このときの等級はデジタルカメラで10.3等でした。その後さらに明るくなり5月初めにはおよそ9等になりましたが、その後は増光もゆるやかになりこれで極大かと思われました。ところが7月になり急激に明るさを増し、7月11日現在では6.8等にまで明るくなっています。

新星の多くは爆発から数日後には極大を迎えますが、今回は「遅い新星」と呼ばれるものかと思われます。このようなV5558 Sgrの光度変化はたいへんに珍しいものですが、1995年に出現したカシオペヤ座の新星(V723 Cas)と似ているとの指摘もされています。V723 Casは増光から4か月あまりたってから2等級も急増光して6等台後半になり、その後は減光していきました。今回のV5558 Sgrがこの後どのような変化を見せるかわかりませんが、観測しやすい時期になりましたので、梅雨のすきまをねらって多くの皆さんに観測していただきたいと思います。


「いて座の新星V5558 Sgr」の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

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