星とガスの波が作りだす銀河の目玉模様

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銀河同士の相互作用により、銀河の渦巻きの中に星とガスの巨大な波が生じていることが明らかになった。掃き集められたガスの中で盛んに星が誕生し、銀河には目玉のような模様が作られている。

【2016年11月8日 アルマ望遠鏡NRAO News

アルマ望遠鏡が、おおいぬ座の方向約1億1400万光年の距離にある渦巻銀河「IC 2163」を観測し、一酸化炭素ガスの分布と運動を詳細にとらえた。IC 2163は過去に別の銀河NGC 2207のすぐ近くを通り過ぎたと考えられており、その際に星とガスでできた巨大な波が生じたとみられている。掃き集められたガスの中で活発な星形成が行われることで、画像に見られる目玉のような模様が作られている。

IC 2163
IC 2163の擬似カラー画像。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像(青)にアルマ望遠鏡がとらえた一酸化炭素ガスの分布(オレンジ)を重ねて表示(提供:M. Kaufman; B. Saxton (NRAO/AUI/NSF); ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); NASA/ESA Hubble Space Telescope)

「この手の銀河同士の衝突は珍しいものではありませんが、目玉を思わせるような構造を持つ銀河は数個ほどしか知られていません。こうした構造は数千万年しか持続せず、銀河の一生のうちほんの一瞬にすぎないからです。今回実際に構造が観測できたことで、銀河同士がすれ違うように衝突する時に何が起こるのかを知る重要な手掛かりが得られました」(米・オハイオ州立大学コロンバス校 Michele Kaufmanさん)。

観測で得られたデータから、IC 2163の「まぶた」部分のガスが毎秒100km以上の速度で内側に移動していることがわかった。さらに、ガスが急減速することや、最終的には銀河の回転に沿うような軌道になることも明らかになった。「巨大な波が猛スピードで岸に押し寄せ、浅瀬に到達して速度が落ち、大量の水と砂が海岸に運ばれる様子と非常によく似ています」(米・T.J.ワトソン研究センター Bruce Elmegreenさん)。

「ガスは、まぶたの外側から内側へと動くにつれて急速に減速するだけでなく、急減速すればするほどガスの密度が高くなることもわかりました。この結果から、銀河衝突の際にどのようにガスが掃き集められ、新たな星団が生まれるのかを知ることができます」(Kaufmanさん)。

コンピュータシミュレーションでは、特定の条件下で銀河同士が相互作用するとIC 2163のような目玉構造が作られると予測されている。「理論やシミュレーションで現象を正しく予測できるのは、たいへん良いことです。そして、その観測的証拠が得られたことの持つ意味は非常に大きいです」(米・アイオワ州立大学 Curtis Struckさん)。

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