月刊ほんナビ 2026年9月号
📕 「今夏の避暑地は宇宙に決まり!」
紹介:原智子(星ナビ2026年9月号掲載)
今年も、体温を上回るような猛暑がやってきた。おそらく今号が発行される8月上旬も、暑さにぐったりしているだろう。かつてなら「避暑地で涼もう」というところだが、もはや日本中どこへ行っても涼しい場所を探すのはひと苦労。こうなったら、天文ファンならではの「宇宙で避暑をしよう!」という大胆なエスケープはいかが。
まずは、SF短編集『星の海を駆ける』を読んで現実逃避。兄妹のようなロボットの絆を描いたヒューゴー賞受賞作や、文化への同化と自分らしさの喪失をテーマにしたネビュラ賞受賞作など14編を収録。宇宙や異世界を舞台にしながら、現代社会の問題や心の普遍性も感じる。目の前にある暑さの悩みは、宇宙を駆け巡る壮大な物語の彼方へ消えていく……かも。
空想世界を楽しむなら『まんが 星空の不思議』もオススメ。本誌連載『やみくも天文同好会』でおなじみ藤井龍二さんの著書で、いつものゼウスやハデスら神々が大活躍。星座にまつわる神話をまんがで読み、解説で学ぶ。月や惑星など太陽系の天体も紹介している。持ち歩きやすい新書サイズだから、公園や旅先などちょっとしたお出かけのお供にもぴったり。
そんな出かけ先として、天文ファンならはずせないのがプラネタリウム。『プラネタリウム百年史』は世界中のプラネタリウムについて、さまざまなエピソードと資料で紹介する読み物。複雑な装置の技術開発と進化、古今東西の天文文化、エンターテインメントや科学教育などの見せ方、語り手と訪問者の交流など、プラネタリウムという場所には多くの物語がある。
次は、ちょっと足を伸ばして星空名所に出かけよう。『日本で一番すてきな星空ガイド』は、全国の公開天文台が推薦する星空スポット95か所を掲載。周辺施設と星空が収まった写真により、どんな場所なのかひと目でわかる。山や湖、灯台などと写る美しい星空風景は見ているだけでも涼やか。現地に行って満天の星を見上げれば、昼間の猛暑を忘れて宇宙とつながるひとときを味わえそう。
さて、そろそろ思いきって、地上を離れてしまおうか。『こころがふわりと軽くなる 宇宙の旅』で案内役を務めるのは、「癒やしの解説員」とも呼ばれる永田美絵さん。優しい語り口で、太陽系から銀河、宇宙の果てまで導いてくれる。宇宙に浮かぶ無重力の特等席で彼女の解説に身を委ねたら、心も穏やかに落ち着いて、暑さも悩みもふわりと軽くなりそう。
『ナショナル ジオグラフィック日本版』2026年7月号では「地上の異星」と題した特集で、地球上に再現した疑似的な宇宙空間で行う大規模な模擬実験を紹介している。人類が将来、月や火星で暮らすために必要な研究や訓練など、国際的な取り組みをリポート。もはや宇宙は、逃避先でも出張先でもなく、近い未来の生活圏になりつつあると実感させられる。
最後は『面白くて眠れなくなる宇宙』で宇宙の不思議にどっぷり浸ろう。同書は、2022年に刊行した内容をもとに再編集し文庫化したもの。「宇宙の果て」「宇宙人のいそうな星」など、知的好奇心を刺激される話題や疑問を、数ページで読み切れるようわかりやすく解説していく。暑くて眠れない夜もこの一冊があれば、宇宙の謎に夢中になって朝を迎えるかも!? それとも寝落ちして、夢の中で宇宙での避暑を続けようか。

















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