月刊ほんナビ 2025年12月号
📕 「「三鷹の森」で育まれた本たち」
紹介:原智子(星ナビ2025年12月号掲載)
渡部潤一先生(と普段お呼びしているので今回は誌面でも「先生」と書きます)の「三鷹の森」連載300回、おめでとうございます。そして、今号で最終回とのこと、とても寂しくて名残惜しい気持ちです。特にここ数年は「『ほんナビ』ページを1つめくると渡部先生の『三鷹の森』がある」という構成だったので、まるで後ろに先生が控えていてくださるような安心感がありました。今回は、渡部潤一先生の関わった多くの書籍から今年発刊されたものを紹介します。
渡部先生は自身の専門分野である彗星などの研究書を著す一方で、天文学を子どもや一般の人たちに広める解説書などの監修も手がけてきました。今回紹介する6冊もすべて監修本です。
まずは、4月に出た『なぜ?がわかる!にゃんこ大戦争クイズブック~宇宙のぎもん編~』から。子どもたちに大人気のゲームアプリ「にゃんこ大戦争」のキャラクターがナビゲートするクイズブックの第3弾。宇宙に関する疑問が88問出題され、読者は3択から答えを選びます。そして、ページをめくると正解と図解入りの解説が現れるという形式。一人でも学べるけれど、友だちとクイズを出し合えばおおいに盛り上がるでしょう。
『天才少年オリバーの「宇宙」入門』は、理工系のバックグラウンドを持つ漫画家による児童向けサイエンス読み物。ちょっと難しい話も、オリバー少年が日常的なたとえを交えてわかりやすく紹介します。「宇宙の形」はミートボール?ブリトー?ドーナツ?ポップなイラストとテンポのよい語り口で、親子一緒に勉強しても楽しめます。
次は、5月に発刊された『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』。それこそ“眠れなくなるほど”たくさん出ているシリーズのなかでも、やっぱり人気の高いテーマは「天文学」でしょう。この本では渡部先生が「はじめに」を書いています。「天文学の面白さは、『まだわかっていないことが非常に多い』という点にあります。」という文章に、星ナビ読者も同意でしょう。
2歳~小学生を対象にした動く図鑑MOVEの『はじめてのずかん うちゅう』は、シリーズ監修を脳医学者が行い、「うちゅう」の監修を渡部先生が担当しています。カバーのそで部分に載った先生のコメントどおり「子どもたちの好奇心に応える」宇宙の魅力が詰まった図鑑。絵本のような厚手の紙をめくるたび美しい写真やイラストが広がり、文字の読めない未就学児でも楽しめます。付録のDVDも見逃せません。
6月に出た絵本図鑑の次に紹介するのは、7月発刊の『厳選 宇宙ワード100』。「中高生からの超絵解本」シリーズですが、本文にはふりがながふられているので小学生でも大丈夫(図解はふりがななし)。基本的な単語から最新の情報まで100個のキーワードが紹介されているので、どれでも気になる言葉から読めば良いです。
最後は8月に出た絵本『はじめまして赤い星』。「火星での暮らし」をさまざまな角度から考察する内容は、ハイレベルで大人でも読み応え充分。専門的な科学情報をやわらかな言葉と温かな色合いの絵で伝える、スペイン発の宇宙絵本です。カバーのそで部分に「監訳者のことば」として、渡部先生のメッセージがつづられています。それはまるで、新天地へ向かう冒険者のようなワクワクする言葉です。渡部先生はSNSでもこの本について「幼児向けの絵本ですが、内容が半端ではありません。監修しながら楽しかった」と投稿しています。いつか人類が火星にテラフォーミングするように、やがて渡部先生が“三鷹の森”を出発して次の舞台へ歩み出します。これからもきっと、新しい場所で天文学の魅力を発信し続けてくださるでしょう。

















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