極限宇宙探究の新時代へ、大口径ガンマ線望遠鏡アレイが完成

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チェレンコフ望遠鏡アレイ天文台の北半球サイトで、4基から成る大口径望遠鏡(LST)アレイが完成した。LSTは、ダークマターの正体や、高エネルギー粒子の加速メカニズムなどの解明に挑む。

【2026年10月23日 東京大学】

チェレンコフ望遠鏡アレイ天文台(CTAO)は、約20ギガ電子ボルト(GeV)から300テラ電子ボルト(TeV)までの高エネルギーガンマ線を観測する、世界最大かつ最高性能の地上ガンマ線天文台となる国際計画だ。北半球と南半球の2か所にある観測サイトには、60基を超える望遠鏡が設置される予定である。日本からは31機関、約130人が参加している。

CTAOを構成する望遠鏡群のうち、スペイン・カナリア諸島のラパルマ島に建設された大口径望遠鏡(LST)の初号機(LST-1)は、2020年以降、性能検証・調整段階にありながら、画期的な成果を上げてきた。その成果には、パルサーや遠方の活動銀河核の観測、新星やガンマ線バーストなど、突発現象への迅速な追観測が含まれる。

稼働中のLST-1
稼働中のLST-1(提供:奥村曉)

10月15日にはCTAO北サイトで、LST-1に3基が加わって4基から成るLSTアレイが完成したことを祝う記念式典が開催された。4基は今後数年かけて試運転と調整を進め、CTAOの観測運用に組み込まれていく。CTAOに設置が計画されている他の望遠鏡とともに、ダークマター(暗黒物質)の正体や宇宙線の起源など、天体物理学、素粒子物理学、宇宙論の根本的な問いに挑む。

今後は4基の望遠鏡によって、同じガンマ線が大気中で引き起こす粒子のシャワーを異なる方向から同時に観測できるようになり、ガンマ線をとらえる感度や、到来方向・エネルギーを測定する精度が大幅に向上する。とくに、LSTは低エネルギーのガンマ線に対する感度が高いため、遠方で起こる明るいガンマ線バーストをとらえることができ、赤方偏移が約4(宇宙誕生から約15億~16億年後)の遠方天体まで、ガンマ線による観測範囲が広がる可能性がある。

LST
完成した4基の大口径望遠鏡の夕景(提供:LST Collaboration)

「LSTアレイの完成は、15年以上にわたる国際協力と技術革新の結実です。これらの望遠鏡によって、超大質量ブラックホールや中性子星、宇宙線の起源、宇宙の暗黒物質の正体など、宇宙の極限的な環境や現象を探ることができます」(LST国際共同研究チーム代表/CTAOコンソーシアムのスポークスパーソン 手嶋政廣さん)。

「日本グループは、反射鏡や焦点面カメラの開発・製作を担い、LSTアレイの完成に大きく貢献してきました。今後は、4基による高い観測感度と高速駆動性能を生かし、遠方宇宙や突発天体などから届くガンマ線をとらえ、宇宙の根源的な謎の解明と新たな現象の発見を目指します」(CTAO日本グループ代表 窪秀利さん)。