【訃報】銀河・活動銀河核を研究、谷口義明さん

このエントリーをはてなブックマークに追加
銀河天文学や観測的宇宙論の分野で活躍し、一般向けの天文解説書の著者としても知られる、観測天文学者の谷口義明さんが9日に死去した。71歳。

【2026年1月15日 アストロアーツ】

谷口義明さんは1954年、北海道生まれ。東北大学大学院理学研究科天文学専攻を卒業後、東京大学東京天文台木曽観測所、東京大学理学系研究科附属天文学教育研究センターの助手を務め、1991年に東北大学理学部天文学教室助教授、2006年に愛媛大学教授を歴任し、2007年には新たに設立された愛媛大学宇宙進化研究センターのセンター長に就任した。2016年からは放送大学教授、同特任教授を務めた。

谷口義明さん
2019年4月10日に行われたブラックホールシャドウ撮影成功の記者会見のしめくくりに、銀河の専門家としてコメントを求められ発言する谷口さん(提供:星ナビ編集部/撮影:梅本真由美)

谷口さんは銀河や活動銀河核の観測や観測的宇宙論の分野で、長年にわたり研究に携わった。1996年にはヨーロッパ宇宙機関の赤外線宇宙天文台「ISO」を使い、日米共同での中間赤外線・遠赤外線深宇宙探査観測プロジェクトのリーダーとして観測に携わった。また、ジェイムズ・クラーク・マクスウェル電波望遠鏡を使ったサブミリ波による銀河サーベイにも携わり、遠方の宇宙で活発な星形成活動を行っている「サブミリ波銀河(SMG)」の観測でも業績を挙げた。

2002年にはすばる望遠鏡の広視野主焦点カメラ「Suprime-Cam」を使った遠方銀河の探索で、日本の研究グループとして初めて、赤方偏移z=5を超える銀河「LAE J1044-0130」(z=5.687)を発見し、当時観測されていた遠方銀河の赤方偏移で第4位となった。翌2003年にすばる望遠鏡で狭帯域フィルターを使うディープサーベイ「すばるディープフィールド」のプロジェクトに加わり、当時の観測史上最遠記録となる銀河「SDF J132418.3+271455」(z=6.578)など、zが6を超える複数の遠方銀河を発見した。

同じく2003年には、ハッブル宇宙望遠鏡のACSカメラを使ったサーベイ観測にX線から電波までの多波長観測データを組み合わせてCDMモデルの検証を行う大規模サーベイプロジェクト「COSMOS」に、すばる望遠鏡のSuprime-Camを使う可視光線サーベイの研究代表者として参画した。

谷口さんは自らの専門である銀河の観測天文学以外の分野でも業績を挙げている。東京大学木曽観測所の助手を務めていた1988年には、同観測所の108cmシュミット望遠鏡で撮影された写真乾板から、NGC 4772銀河に超新星「SN 1988E」を発見した。

放送大学では、教養学部教養学科から修士課程、博士後期課程まで、天文学に関する様々な授業科目を担当し、わかりやすい語り口で親しまれた。

谷口さんは学生向けの天文学の教科書だけでなく、宇宙や銀河、ブラックホールなどを一般向けにやさしく解説する書籍を多数出版してきた。近年では宮沢賢治の文学作品やゴッホの絵画に登場する星空や宇宙を天文学者の観点から考察する、ユニークな著作でも知られた。

謹んで、ご冥福をお祈りします。

ファカルティ・プロファイル ~教員紹介~ 谷口義明特任教授(提供:放送大学YouTubeチャンネル)

関連記事